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  • 平成8年度|
  • 第1章 検査結果の概要|
  • 第2節 検査結果の大要|
  • 第1 事項等別の検査結果

事項別の検査結果の概要


B 事項別の検査結果の概要

事項別の検査結果を省庁等別にみると次表のとおりである。

事項
省庁又は団体名
不当事項 意見を表示し又は処置を要求した事項 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項
会計検査院法第34条関係 会計検査院法第36条関係
是正改善の処置を要求したもの 改善の意見を表示したもの 改善の処置を要求したもの

総理府(北海道開発庁)

2

2
同(防衛庁)



1 1
法務省 2


1 3
大蔵省 4


1 5
文部省 33
1
1 35
厚生省 157


2 159
農林水産省 22

1 6 29
通商産業省 10



10
運輸省
1

1 2
郵政省 46


2 48
労働省 5



5
建設省 11


5 16
自治省



1 1
農林漁業金融公庫 3



3
日本道路公団



1 1
首都高速道路公団



1 1
阪神高速道路公団



1 1
社会福祉・医療事業団 9



9
日本国有鉄道清算事業団



1 1
農畜産業振興事業団



1 1
海外経済協力基金 1



1
日本私学振興財団 9


1 10
日本電信電話株式会社



3 3
帝都高速度交通営団



1 1
北海道旅客鉄道株式会社



1 1
エヌ・ティ・ティ移動通信網株式会社



1 1
314 1 1 1 33 350

 上記の各事項について、その概要を示すと次のとおりである。

(不当事項)

 検査の結果、「不当事項」として計314件(指摘金額170億5514万余円)掲記した。これを収入、支出等の別に分類し、態様別に説明すると、次のとおりである。

1 収入に関するもの(計27件 74億2739万余円)

省庁名 租税 保険料 医療費 不正行為

法務省

1

1
大蔵省 3

1 4
文部省

20
20
厚生省
1

1
労働省
1

1
3 2 20 2 27

 

(1) 租税 3 14億2594万余円

<租税の徴収等が適正でなかったもの>

○大蔵省

・租税の徴収に当たり、納税者が申告書等において所得金額や税額等を誤っているのに、課税資料の収集・活用が的確でなかったり、これを見過ごしたりなどしていたため、納税者449人からの徴収額に過不足があったもの(1件 13億9867万余円)

・租税の過誤納金の還付に当たり、法令に基づく還付加算金の計算の始期を誤ったため、還付加算金が過大に支払われていたもの(2件 2727万余円)

(2) 保険料 2 58億1178万余円

<保険料の徴収が適正でなかったもの>

○厚生省

・健康保険及び厚生年金保険の保険料の徴収に当たり、派遣労働者を使用している派遣元の事業主等が、常用的に使用している派遣労働者等について、被保険者資格取得届の提出を怠るなどしていたのに、これに対する調査確認及び指導が十分でなかったため、1,482事業主からの徴収額が不足していたもの(1件 54億5730万余円)

○労働省

・労働保険の保険料の徴収に当たり、事業主からの申告書における賃金総額の記載が事実と相違するなどしていたのに、これに対する調査確認が十分でなかったため、595事業主からの徴収額に過不足があったもの(1件 3億5448万余円)

(3) 医療費 20 1億5777万余円

<診療報酬の請求が適切でなかったもの>

○文部省

・大学病院における診療報酬の請求に当たり、手術で使用した医療材料の費用を算定していなかったり、麻酔料に対する加算を行っていなかったり、放射線治療の実施回数を少なく算定していたりなどしたため、20大学の21病院で請求額が不足していたもの

(4) 不正行為 2 3188万余円

<現金が領得されたもの>

○法務省

・検察庁の職員が、罰金等の徴収事務等に従事中、納付義務者から罰金等を受領した後、その収納手続を執らずに領得したもの(1件 109万余円)

○大蔵省

・税務署の職員が、国税の還付事務に従事中、架空の納税者名義の還付関係書類を作成し、知人に受領させるなどして還付金を領得したもの(1件 3079万余円)

2 支出に関するもの(計240件 88億1963万余円)

省庁又は団体名 予算経理 工事 保険給付 医療費 補助金 貸付金

総理府(北海道開発庁)

2

2
文部省 4


9
13
厚生省

1 1 154
156
農林水産省



13 9 22
通商産業省



10
10
労働省

3 1

4
建設省



11
11
農林漁業金融公庫




3 3
社会福祉・医療事業団




9 9
海外経済協力基金




1 1
日本私学振興財団



9
9
4 2 4 2 206 22 240

 

(1) 予算経理 4 4846万余円

<架空の名目により旅費等を支出させ別途に経理していたもの>

○文部省

・文部省が都道府県の教育委員会に委嘱又は委託して実施している教育関係事業等において、教育委員会が、架空の名目により旅行命令書、支出負担行為決議書等の関係書類を作成するなどして、旅費、謝金等を出納部局に不正に支出させ、これを別途に経理し、同事業等の実施とは直接関係のない用途に使用するなどしていて、経理が著しく適正を欠いているもの

(2) 工事 2件 3909万余円

<設計が適切でなかったもの>

○総理府(北海道開発庁)

・岸壁築造工事の施行に当たり、ケーソンの上部に設置する係船柱取付部の配筋図を作成する際、ケーソンと連結するための鉄筋を誤って図示しておらず、設計が適切でなかったため、係船柱取付部が不安定な状態となっているもの

(3) 保険給付 4件 14億9974万余円

<保険の給付が適正でなかったもの>

○厚生省

・厚生年金保険の老齢厚生年金等及び国民年金の老齢基礎年金の支給に当たり、受給権者が事業所に常用的に使用されていて、年金の一部又は全部の支給を停止すべきであったのに、被保険者資格取得届が提出されず、これに対する都道府県(社会保険事務所)の調査確認及び指導が十分でなかったため、1,437人に対して支給停止の手続が執られず不適正に支給されていたもの(1件 12億9639万余円)

○労働省

・雇用保険の失業等給付金の支給決定に当たり、受給者が、再就職していながらその事実を申告書に記載していなかったり、事実と相違する再就職年月日を記載したりしていたのに、これに対する調査確認が十分でなかったため、354人に対する支給が適正に行われていなかったもの(1件 6881万余円)

・雇用保険の雇用調整助成金の支給決定に当たり、事業主が申請書において、休業日に業務に就いていた日数分は支給対象とならないのにこれを支給対象とするなど、その記載内容が事実と相違していたのに、これに対する調査確認が十分でなかったため、21事業主に対する支給が適正に行われていなかったもの(1件 1381万余円)

・雇用保険の特定求職者雇用開発助成金の支給決定に当たり、事業主が申請書において、既に雇用している者を新たに雇用したこととしているなど、その記載内容が事実と相違していたのに、これに対する調査確認が十分でなかったため、65事業主に対する支給が適正に行われていなかったもの(1件 1億2071万余円)

(4) 医療費 2件 6億4635万余円

<医療費の支払が適切でなかったもの>

○厚生省

・特定入院料、入院時医学管理料、初診料・再診料等の診療報酬の支払に当たり、医療機関から不適正な診療報酬の請求があったのに、これに対する審査点検が十分でなかったなどのため、140医療機関に対する医療費の支払が適切でなく、これに対する国の負担が不当と認められるもの(1件 5億8473万余円)

○労働省

・労働者災害補償保険の療養の給付に要する診療費の支払に当たり、医療機関が入院料、手術料、処置料等を誤って算定し請求していたのに、これに対する審査が十分でなかったため、261医療機関に対する支払が適正に行われていなかったもの(1件 6162万余円)

(5) 補助金 206件 44億0216万余円

<補助事業の実施及び経理が不当なもの>

○文部省

・義務教育費国庫負担金等の算定において、国庫負担の対象にならない教員に係る給与費等を国庫負担対象額に含めたり、教職員定数の算定を誤ったりなどしていたため、負担金が過大に交付されていたもの(9件 1億5932万余円)

○厚生省

・社会福祉施設等施設整備費補助金等の交付に当たり、社会福祉法人が、法人の理事長が経営する会社と工事請負契約を締結し、その会社は契約額より低額な金額で他の建設会社と一括下請負契約をしていて工事の施行に何ら関与していないのに、法人の理事長が経営する会社との契約額に基づき補助金の交付を申請するなどしていたため、補助金が過大に交付されていたもの(12件5億1751万余円)

・生活保護費負担金の算定において、保護を受ける世帯における就労収入等の額を過小に認定したり、保護を受ける世帯に係る診療報酬の負担額を過大に認定したりなどして保護費の額を決定していたため、負担金が過大に交付されていたもの(4件 2942万余円)

・老人福祉施設保護費負担金の算定において、老人の収入を誤認するなどして対象収入を過小に算定したり、徴収金の額の集計を誤っていたりなどして、徴収金の額を過小に算定していたため、国庫負担対象事業費が過大に精算されていたも(38件 3874万余円)

・児童保護費等負担金の算定において、児童の扶養義務者の所得税額等を誤認するなどして徴収金の額を過小に算定していたため、国庫負担対象事業費が過大に精算されていたもの(24件 2136万余円)

・児童育成事業費補助金の算定に当たり、延長保育を利用した児童数が6入を超える場合に加算される額の算定の基礎となる平均利用児童数について、延長保育を実際に利用した児童数ではなく、延長保育を希望し登録した児童数を用いて算定していたため、補助金が過大に交付されていたもの(5件 5356万余円)

・国民健康保険の療養給付費補助金の交付に当たり、国民健康保険組合において、組合の規約に定める事業を実施していない事業所に所属するなど規約に定める組合員の範囲に該当せず、被保険者として取り扱うべきでない者を被保険者として、これらの者に係る医療給付費を補助の対象に含めて申請していたため、補助金が過大に交付されていたもの(1件 3億3993万余円)

・国民健康保険の療養給付費負担金の交付に当たり、誤って、一般被保険者に係る医療給付費の算定において一部負担金の減免額を含めていたり、遡及して退職被保険者等となった者に係る医療給付費を控除していなかったりなどしていたため、負担金が過大に 交付されていたもの(9件 1億2820万余円)

・国民健康保険の財政調整交付金の交付に当たり、市町村において、交付額算定の基礎となる調整対象収入額を過小に算定したり、保険料収納割合を事実と相違した高い割合としたりなどして交付申請を行っていたため、交付金が過大に交付されていたもの(61件28億1931万余円)

○農林水産省

・広域営農団地農道整備事業の実施に当たり、ボックスカルバートの頂版の下面側及び底版の上面側に配置する主鉄筋の定着に必要な長さについて検討を行っていなかったり、土圧の計算において誤った最大土被り厚を適用していたりなどしていて、設計が適切でなかったため、ボックスカルバートが不安定な状態になっているもの(1件 1276万余円)

・ため池等整備事業の実施に当たり、新しい底樋の設置工法の選定が適切を欠いていたり、既設の底樋を完全に閉鎖しなかったことから必要がなかった排水工事を実施していたりなどしていて、事業の施行が適切でなかったため、事業費が不経済となっているもの(1件 312万余円)

・ため池等整備事業の実施に当たり、余水吐の流入部等には、浮力が作用しており、また、ため池の反対側から土圧が一方的に作用する構造となっているのに、滑動に対する安定計算を行っておらず、設計が適切でなかったため、余水吐の流入部等が不安定な状態になっているもの(1件 506万余円)

・水稲及び麦に係る農作物共済の引受けに当たり、引受面積に含めないこととなっている畦(けい)畔の面積を含めていたため、これに係る共済掛金国庫負担金が過大に交付されているもの(1件 1073万余円)

・地すべり防止事業等の実施に当たり、アンカー工費を積算する際に、アンカー工費のうちの削孔工費の中には削孔材料損耗費が含まれているのに、誤って、別途に同額の削孔材料損耗費を重複して計上するなどしたため、工事費が割高となっているもの(3件 833万余円)

・農業集落排水事業の実施に当たり、汚水処理施設の動力制御設備の製作価格を積算する際、動力制御設備一式の見積価格を、当該設備を構成する動力制御盤1面当たりの価格と誤り、これを2倍するなどしたため、工事費が割高となっているもの(1件 995万余円)

・海岸高潮対策事業の実施に当たり、消波ブロックの設計数量を算出する際、工事の発注に先立ち地盤線を実測して作成した図面における地盤線が補助金交付申請当時作成した図面で想定した地盤線より高い位置であったのに、交付申請当時の図面を基に算出した過大な消波ブロックの設計数量をそのまま使用したため、工事費が不経済となっているもの(1件 1290万余円)

・国庫補助金を原資とする林業改善資金の貸付けにおいて、借受者が、貸付決定前に既に設置していた機械を対象として貸付けを受けていたり、機械を貸付対象事業費より低額で設置したりしていて、補助の目的に沿わない結果になっていたもの(4件 1292万余円)

○通商産業省

・国庫補助金を原資とする中小企業設備近代化資金の貸付けにおいて、借主が、設備を県に無断で売却したり、貸付対象事業費より低額で設置したり、設備を設置していなかったりなどしていて、補助の目的に沿わない結果になっていたもの(10件 4120万余円)

○建設省

・公営住宅建設事業費補助金の交付に当たり、階数が異なる建物が接合されている建物の工事費については、階数が異なる建物ごとに計算すべきであるのに、誤って、高い方の建物の階数に対応する高額な1戸当たり工事費を全戸数に乗ずるなどして交付額を算定したため、補助金が過大に交付されているもの(1件 2200万余円)

・駐車場整備事業の実施に当たり、コンクリート舗装には、表面から底面まで切断して目地を設けることになっているに、目地が舗装の底面まで達していないなど、施工が設計と著しく相違していたため、多数のき裂が発生しており、耐久性が著しく低下していて、コンクリート舗装工が工事の目的を達していないもの(1件 928万余円)

・土地区画整理事業の実施に当たり、建物の解体工事費等の積算については、建築工事に関する積算の基準では、建物の解体に係る費用が直接工事費の大部分を占める場合には共通仮設費等について所定の方法により低減することとなっているのに、誤って、土木工事に関する積算の基準を適用したため、工事費が割高となっているもの(1件 800万余円)

・道路災害防除事業の実施に当たり、法枠工費を積算する際に、枠内の地山に緑化のため吹き付ける厚層基材の所要量について、吹付け面積に吹付け厚さを乗じて算出すべきところ、誤って、吹付け面積の数値を採ったことなどのため、工事費が割高となっているもの(1件 531万余円)

・都市公園整備事業の実施に当たり、雨水排水管の埋設形式は設計図面によれば土圧計算の対象となる範囲が広い突出型であるのに、誤って、溝型として土圧を過小に計算するなどしていて、設計が適切でなかったため、雨水排水管が不安定な状態になっているもの(2件 747万余円)

・海岸侵食対策事業の実施に当たり、人工リーフの捨石の均し工費を積算する際に、荒均しの歩掛かりを適用することとなっているのに、誤って、荒均しより費用が割高となる、被覆石の表面を均す際の被覆均しの歩掛かりを適用したため、工事費が割高となっているもの(1件 492万余円)

・中小河川改修事業の実施に当たり、樋管の縦方向の主鉄筋については、個々の設計条件に基づき個別に応力計算を行って設計することとされているのに、誤って、応力計算を行わないまま標準設計どおりの配筋としていて、設計が適切でなかったため、樋管が不安定な状態になっているもの(1件 686万円)

・道路改良事業の実施に当たり、ロックボルト内が土によって目詰まりするのを防止する作業を十分に行っていなかったり、注人材の充てん状況を確認する作業を怠っていたりなどしていて、施工が著しく粗雑であったため、ロックボルトが地山と一体化しておらず、ロックボルト工が工事の目的を達していないもの(1件 3510万余円)

・道路改良事業の実施に当たり、ボックスカルバートの頂版の下面側及び底版の上面側に配置する主鉄筋について、配筋図を作成する際に、誤って、応力計算上安全とされている間隔の2倍の間隔で配置することとしていて、設計が適切でなかったため、ボックスカルバートが不安定な状態になっているもの(1件 1734万余円)

・公営住宅建設事業費補助金の交付に当たり、住宅の建設地の地区別区分は一般地区であるのに、1戸当たり工事費の一覧表の地区別区分を見誤って、多雪寒冷地区の数値を適用したため、補助金が過大に交付されているもの(1件 1298万円)

○日本私学振興財団

・私立大学等経常費補助金の交付に当たり、学校法人から提出された資料に、補助金の額の算定の基礎となる教育研究経費支出等の額には含めないこととされている臨時職員の給与等の支出額が計上されるなどしているのに、この資料に基づいて補助金の額を算定したため、交付額が過大になっていたもの(9件 4847万余円)

(6) 貸付金 22件 22億3228万余円

<貸付金の経理が不当なもの>

○農林水産省

・国の貸付金等を原資とする農業改良資金の貸付けにおいて、借受者が、施設等を貸付対象事業費より低額で設置などしたり、機械を道に無断で処分したり、貸付申請前に既に事業を完了したりしていて、これに係る国の貸付金等相当額が貸付け等の目的に沿わない結果になっていたもの(9件 2265万余円)

○農林漁業金融公庫

・総合施設資金等の貸付けにおいて、借入者が事業を貸付対象事業費より低額で実施していたため、貸付金が過大に貸し付けられていて、貸付けの目的に沿わない結果になっていたもの(3件 5127万余円)

○社会福祉・医療事業団

・福祉貸付資金の貸付けにおいて、社会福祉法人が、法人の理事長が経営する会社と工事請負契約を締結し、その会社は契約額より低額な金額で他の建設会社と一括下請負契約をしていて工事の施行に何ら関与していないのに、法人の理事長が経営する会社との契約額に基づき貸付けを申請するなどしていたため、貸付金が過大に貸し付けられていたもの(9件 10億5988万余円)

○海外経済協力基金

・開発途上地域の産業の開発等に寄与する事業を行う民間企業に対する資金の貸付けにおいて、借受者から銀行の支払保証状を提出させるなど有効な債権保全措置を執らないまま貸付けを実行したため、貸付金の回収が困難となっているもの(1件 10億5000万円)

3 収入支出以外のもの(計47件 8億0811万余円)

省庁名 不正行為

法務省

1
郵政省 46
47


不正行為 47 8億0811万余円

<現金が領得されたもの>

○法務省

・検察庁の職員が、宿直勤務に従事中、金庫に刑事事件の証拠品として保管していた現金を領得したもの(1件 168万余円)

○郵政省

・郵便局の出納員等46名が、契約者から受領した保険料、預金者から受領した定額郵便貯金預入金、不正に払い出した定額郵便貯金払戻金等を領得したもの(46件 8億0642万余円)

(意見を表示し又は処置を要求した事項)

「意見を表示し又は処置を要求した事項」として計3件(指摘金額1億7300万円)掲記した。

1 会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求した事項 1件

○運輸省

・住宅騒音防止対策事業において設置する冷暖房機器について

運輸省では、空港周辺の航空機騒音防止対策として、住宅騒音防止工事を行う住宅所有者等に対して工事に必要な経費を補助する空港周辺整備機構及び市町村に対して住宅騒音防止対策事業費補助金を交付している。この事業において、機能回復工事の補助対象となる冷暖房機器については、屋外機の騒音値等を仕様書で定め、これに適合するものを運輸省規格品として各補助事業者に通知しており、9補助事業者では、規格品について積算単価を決定し、これにより冷暖房機器費を算定している。これについて調査したところ、市販の冷暖房機器のうちインバーター方式の機種の相当数は、その性能において補助対象である運輸省規格品と遜色なく、価格も低廉であり、消費電力も節約できるものとなっていることなどから、これを補助の対象に加えることにより住宅所有者等による機種の選択の範囲を広くする要があると認められた。したがって、同省は、市販機器の性能調査や市場の実態調査を実施するなどして、市販機器を補助対象に加えることとする処置を講ずる要がある。

(指摘金額 1億7300万円)

2 会計検査院法第36条の規定によるもの 2件

(ア) 改善の意見を表示した事項

○文部省

・少子化等に伴う公立小中学校施設の有効活用について

文部省では、公立の小中学校の校舎等の整備を行う市町村に対してその経費の一部を負担している。近年の少子化等を反映して、児童生徒数及び学級数は減少し、公立小中学校の学校施設にクラスルーム等として使用されていない普通教室が増加し続けている一方で、人口の高齢化が進み高齢者福祉施設等へのニーズが増大している。そこで、95市町の1,056校について学校施設が有効に活用されているか調査した。その結果、クラスルーム等として使用されていない普通教室が学校施設として必ずしも有効に活用されていないと認められるものも見受けられる一方で、老人デイサービスセンター等としてこれを転用するニーズが高まっているのに、市町村においてこのような施設への転用について必ずしも積極的な検討を行っていない状況であった。したがって、同省において、学校以外の施設への転用手続を一層明確化、簡略化し整備するとともに、市町村に対し多様なニーズを幅広く検討できる体制を整備するよう指導するなどして、学校施設の一層の有効活用を図る要がある。

背景金額

1856億余円


クラスルーム等として使用されていない普通教室がある公立小中学校の校舎整備費に係る国庫補助金交付額


(イ) 改善の処置を要求した事項

○農林水産省

・漁業共済事業の運営について

水産庁では、漁業者が営む漁業につき異常の事象又は不慮の事故によって受ける損失を補てんする漁業災害補償制度において、漁業共済組合が行う漁業共済事業について保険の引受けを行うとともに、漁業者の負担の軽減を図るなどのため共済掛金の一部を補助している。漁業共済事業では、昭和63年から、加入促進等を図るため、漁業協同組合(漁協)が漁業者を取りまとめて契約者となる漁協一括契約が導入されている。この漁業共済事業について調査したところ、14漁業共済組合の157漁協における1,638共済契約において、漁協等が共済掛金の全部又は一部を負担するとともに支払を受けた共済金の全部又は一部を他の用途に使用するなどしていて、共済金が損失を生じた漁業者に適正に支払われていない事態が見受けられ、この事態は漁協一括契約に係るものが大部分となっていた。したがって、同庁は、共済掛金の負担及び共済金の支払等について実態の把握に努め、漁協一括契約における共済掛金の分担及び共済金の配分の方法が制度の趣旨に沿った適切なものとなるよう明確な基準を示すなどして、共済事業の運営の適正化を図る要がある。

背景金額

18億3841万余円


共済掛金の負担が適切でなく共済金が適正に支払われていなかった共済契約に係る共済掛金の国庫補助金額及び共済金のうち国の保険金相当額


(本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項)

 「本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項」として計33件(指摘金額 48億8792万余円)掲記した。

○総理府(防衛庁)

・駐屯地における下水道料金の支払について

駐屯地における下水道料金の支払に当たり、公共下水道に接続する汚水排水設備に汚水流量計を設置して、これにより計量したものを汚水排出量として地方公共団体の認定を受ければ、下水道料金を節減できたのに、この方法について周知徹底を図っていなかったなどのため、4駐屯地において、下水道料金が不経済となっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 7920万円)

○法務省

・携帯電話等の料金種別の選択について

携帯電話等の利用に当たり、発信量が少なくダイヤル通話料が少額であることが見込まれるものについては、基本使用料が割安になる料金種別を選択して、電話料金の節減を図ることができたのに、経済的な料金種別の選択に対する配慮が十分でなかったため、256官署において、電話料金が不経済となっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 2990万円)

○大蔵省

・輸入パルプの運送経費の積算について

輸入パルプの購入契約における運送経費の積算に当たり、印刷工場では、車上からの庫入作業については、納入業者に行わせず、別の荷役業者に行わせているのに、契約部局において、この実態を十分に把握していなかったため、運送経費に庫入料を含めていて、積算額が過大になっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 950万円)

○文部省

・キャンパス情報ネットワークにおける交換機の整備について

国立大学等においてマルチメディアに対応した大容量データ通信を実現する非同期転送モードのキャンパス情報ネットワークの整備に当たり、学部等の具体的な利用予定の把握が十分でなく、また、本省が大学等に計画的な整備を行うための指針を示さないまま整備を進めさせていたことなどのため、11大学において、設置された交換機に端末装置等が全く接続されておらず遊休しているなどしていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 5億2972万余円)

○厚生省

・結核性疾病及び精神病に係る特別調整交付金の算定について

国民健康保険の財政調整交付金の交付に当たり、被保険者の負担軽減措置が行われている場合の保険者負担額の算定方法が交付申請書の様式等で明確に示されていなかったなどのため、38市において、負担軽減措置の対象となった結核性疾病及び精神病に係る医療給付費について、所定の減額調整を行っておらず、特別調整交付金が過大に交付されていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 4億3260万余円)

・国立病院等における下水道料金の支払について

国立病院等における下水道料金の支払に当たり、蒸気ボイラー設備等に供給された水道水等の相当量が蒸発するなどしているのに、関係地方公共団体から減水量の認定を受けていなかったため、7病院において、水道水等の使用量をそのまま汚水排出量と認定されるなどしていて、下水道料金が不経済となっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 1810万円)

○農林水産省

・新生産調整推進助成補助金等の交付に係る生産調整実施面積の算定について

新生産調整推進対策等における補助金の交付に当たり、かい廃カウント等の計上方法等が明確でなかったことなどのため、69市町村において、かい廃カウントに係る面積を生産調整の目標達成要件を満たしていない推進地区等に配分したり、基準日前に既にかい廃されていた水田面積をかい廃カウント等に計上したりなどしていて、補助金等が過大に交付されていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 5億5747万余円)

・家畜導入事業資金供給事業における基金の造成及び運営について

家畜導入事業資金供給事業に係る基金の造成主体への補助金の交付に当たり、都道府県の審査が実効あるものとなるような事業実施計画等の書式が定められていなかったり、基金に資金が滞留した場合及び余剰金が生じた場合の取扱いが明確でなかったりなどしていた。このため、農協有等導入事業において、基金の造成額算定を誤っていて補助金が過大に交付されていたり、基金に必要以上の資金が滞留していたり、特別導入事業において、余剰金が生じている基金がある一方、基金の不足が予想される基金もあり、基金間で資金が偏在していたりしていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 8億4042万余円)

・治山ダム工事における岩盤掘削面整形工費等の積算について

治山ダム工事の工事費の積算に当たり、岩盤掘削面整形工が積算の基準よりも良好な作業条件で施工されていたり、岩盤清掃工が積算の基準よりも効率的な機種を使用して施工されていたりしていて、基準が施工の実態と異なっているのに、これらの調査、検討が十分でなかったなどのため、806工事において、両工費の積算額が過大になっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 6220万円)

・輸入飼料の売渡しに係る保管料の支払について

輸入飼料の売渡しにおいて、保管料の負担期間を決定する荷渡指図書の交付を、契約締結日の属する保管期内に適時に行ったとすれば、保管料を節減できたのに、長年の慣行により、契約締結日の属する保管期の次の保管期の期首日等に指図書を交付していたため、12食糧事務所において、保管料の支払が過大になっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 1億0790万円)

・牛に係る家畜共済事業の運営について

牛に係る家畜共済事業の運営に当たり、共済に加入した農業者が飼養する共済対象の牛はすべて共済に付されることになっているが、共済対象の牛の頭数確認が十分でなかったため、共済の引受頭数が実際の飼養頭数とかい離していて、85農業共済組合等において、共済金が過大又は過小に支払われていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 1億4552万余円)

・国有農地等の管理等に関する業務に係る事務取扱交付金について

国有農地等の管理等に関する業務に係る事務取扱交付金の算定に当たり、交付申請書等の様式が従事職員の業務割合を把握できるようになっていなかったなどのため、27都道県において、当該業務に専従しているとは認められない職員を、その業務割合を考慮せずに交付対象職員数に含めるなどしていて、交付金が過大に交付されていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 1億8739万余円)

○運輸省

・桟橋等の築造工事に使用する鋼管杭の材質について

桟橋等の築造工事に使用する鋼管杭の設計に当たり、杭の上部及び下部の材質の選定について明確な取扱い方法が定められていなかったことなどのため、杭の下部は作用する力がわずかなものであるにもかかわらず、21工事等において、上部と同じ材質の高価な鋼管杭を選定していて、鋼管杭の材料費が不経済となっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 7100万円)

○郵政省

・郵便事業用車両の借上げについて

郵便事業用車両の借上げに当たり、郵政本省において地方郵政局に対し、借上車両の状況を考慮した購入要求を行うよう指導していなかったなどのため、車両104両について、長期にわたる継続的な借上げとなっていて、借上経費が同種車両を購入した場合の取得維持経費を上回ることとなっており、不経済となっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 3640万円)

・空気調和設備工事におけるダクト等の工事費の積算について

空気調和設備工事におけるダクト及び保温板の工事費の積算に当たり、積算に使用する標準複合単価を算出する際に、積算システムの各種ファイルに入力するステンレス鋼板の面積等のデータを取り違えるなどして、誤った標準複合単価を算出していたため、14工事において、ダクト等の工事費の積算額が過大になっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 4060万円)

○建設省

・特定優良賃貸住宅供給促進事業における共同施設等整備費の算定について

補助事業で行う特定優良賃貸住宅供給促進事業の実施に当たり、階数が部分的に異なっている建物の共同施設等整備費については、階数の異なるそれぞれの部分ごとに算出する要があるのに、算出方法が明確でなかったため、6事業主体において、最上階に対応する高額な1戸当たり標準工事費に全戸数を乗じて算出していて、補助金が過大に交付されていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 7300万円)

・補助事業に係る道路改築事業等における再生砕石の利用の促進について

補助事業に係る道路改築事業等の実施に当たり、事業主体において、再生資源の利用促進を図るための法律や建設省の通達等の趣旨に対する理解が十分でなかったなどのため、下層路盤工等に新材より安価な再生砕石を使用できる事業や工種を限定するなどしていて、2,480工事における材料費の積算が経済的に行われていなかった。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

背景金額

4億8710万円


再生砕石を使用した場合に低減可能な積算額に対する国庫補助金相当額


・公共事業の施行に伴う損失の補償に係る消費税相当額の取扱いについて

補助事業による公共事業の施行に伴う損失補償に当たり、土地等の所有者等が事業者である場合、建物の移転等に要する費用に係る消費税相当額については、消費税の確定申告の際、課税仕入れに係る消費税額として控除の対象とすることが可能で、事業者が実質的には負担しないことが見込まれるのに、消費税相当額の補償の要否について具体的な確認方法を示していなかったなどのため、91事業主体において、消費税相当額を補償の対象としていて、補償金が過大に算定されていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 4億8126万余円)

・橋脚補強工事における注人材等の材料費の積算について

震災対策として施行する橋脚補強工事の材料費の積算に当たり、注人材等の材料単価については、市場価格が積算参考資料掲載の公表価格よりも通常低くなることから、市場価格の調査を行った上で決定することとなっているのに、この調査を行わずに公表価格をそのまま採用していたため、38工事において、注人材等の材料費の積算が過大になっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 6200万円)

・ダムの有効活用について

ダムの操作に当たり、洪水発生のおそれがある場合に安全に水位を下げられる範囲で、現行の制限水位より高い新たな水位を設定し、貯留量を増加させれば、渇水対策等に資することになるのに、ダムの有効活用を図るための取組みが十分でなかったため、弾力的なダム操作が行われていなかった。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。 

背景金額
11億円

新たに渇水対策等に資することが可能な貯留量の上水道料金換算額

○自治省

・消防防災施設整備費補助金による画像伝送システムの整備について

消防防災施設整備費補助金による画像伝送システムの整備契約に当たり、契約の内容に適合した履行の確保のために必要か否かを十分に検討することなく、土木工事等の建設工事と同様に最低制限価格を設定していたなどのため、8市9件の契約において、契約額が不経済となっていて、補助金が過大に交付されていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 8600万円)

○日本道路公団

・用地測量における補助基準点の測量費等の積算について

補助基準点の測量費の積算において、既設の補助基準点を使用して経済的に測量ができるのに、この実態を積算要領等に反映させていなかったり、道路敷等の境界杭の測量費の積算において、使用される単価の意味が通達において明確にされていなかったりなどしたため、65件の契約において、測量費の積算が過大になっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 9500万円)

○首都高速道路公団

・高速道路の建設工事における一般管理費等の積算について

高速道路の建設工事において、近年、首都圏では公団が土砂の処分地を指定しており、受入先への処理費の支払等についても公団が直接行うことが可能であるのに、これを積算に反映させていなかったなどのため、8工事において、土砂の処理費を工事費に含めて積算していて、これに係る一般管理費等の積算が過大になっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 8700万円)

○阪神高速道路公団

・遮音壁設置工事における吸音板の設計について

遮音壁設置工事における吸音板の設計に当たり、吸音板の車道側については、支柱を吸音板の表面部材で覆わないこととしても、減音効果に影響はなく、景観上も問題はないのに、経済的な設計に対する配慮が十分でなかったなどのため、49工事において、支柱の車道側を覆うこととしていて、吸音板の費用が不経済となっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 7300万円)

○日本国有鉄道清算事業団

・土地台帳等の整備業務の委託について

土地台帳等の整備業務に係る委託契約において、処分済みの土地については、当該土地台帳等の原資料である土地売買契約書等で内部、外部からの照会等に対応できるのに、十分に検討しないまま、処分済みの土地についても土地台帳等の整備の対象としていたなどのため、3支社において、委託費が不経済となっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 4970万円)

○農畜産業振興事業団

・肉用子牛生産者補給金制度運営適正化事業における肉用子牛の個体登録等事務に係る委託費の精算について

肉用子牛生産者補給金制度運営適正化事業の実施に当たり、事業主体である都道府県指定協会が、肉用子牛の個体登録等事務を農協等に委託し前金払により委託費を支払った場合に委託費を実績登録頭数に応じて精算することが補助金交付要綱等に明記されていなかったなどのため、多数の農協等で実績登録頭数が予定登録頭数を下回っているのに、指定協会において農協等に委託費を精算させておらず、補助金が過大に交付されていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 1億0710万円)

○日本私学振興財団

・私立大学における臨時職員に対する給与の補助金算定上の取扱いについて

私立大学等経常費補助金の算定に当たり、各大学の教室又は講座の責任者の名称で契約し雇用している臨時職員の給与は教育研究経費支出の額には含めないのが適切であるのに、補助金の額の算定上の取扱方針が明確でなかったなどのため、2学校法人において、これを教育研究経費支出の額に含めていて、補助金が過大に交付されていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 2億3164万余円)

○日本電信電話株式会社

・低圧電力の電気需給契約における契約電力の見直しについて

低圧電力の電気需給契約において、通信設備のディジタル化、集約化に伴って、局舎等で電力設備を撤去するなどした場合に、適切に契約電力を見直して、電気需給契約の変更を行っていれば、電気料金の節減が図れたのに、本社において、電力設備の管理・運用会社との業務委託契約に当たり、仕様書等でこの旨を明記していなかったなどのため、1,420局舎等において、契約電力の適切な見直しが行われておらず、電気料金が不経済となっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 1億1040万円)

・遠隔監視などによる警備業務の委託について

局舎の警備業務の委託に当たり、遠隔監視などによる警備業務については、電気通信設備の保守、管理業務においても同様の業務が行われていることから、それぞれの業務の対象区域が同一であるなどの局舎については、遠隔監視などによる警備業務を委託の対象とする必要はないのに、155局舎において、これを委託の対象に含めていて、委託費が不経済となっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 5920万円)

・加入電話契約者への通知書の送付方法について

加入電話契約者への停止予告書、解除予告書等の送付に当たり、本社において、各支社に対し、通知書の経済的な送付方法や訴訟等トラブルの発生のおそれのあるものの範囲などについて明確にしていなかった。このため、停止予告書は再発行請求書に同封して一括送付すれば足りるのに、これらを別途に送付していたり、解除予告書を訴訟等トラブルの発生のおそれがないのに、配達証明郵便等で送付していたりなどしていて、郵送費用等が不経済となっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 8310万円)

○帝都高速度交通営団

・車両清掃業務委託契約における労務単価の積算について

車両清掃業務委託契約における労務単価の積算に当たり、作業環境等手当による労務単価の割増しは、1日の実働時間である7時間を対象として行うべきであるのに、作業の実態の把握が十分でなかったなどのため、実働時間を8時間として割増しを行っていて、労務単価の積算が作業の実態に適合しておらず、委託費が不経済となっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 2750万円)

○北海道旅客鉄道株式会社

・土地の貸付料について

管路等を設置するための土地を電気通信事業者に貸し付ける契約において、道路法施行令で定める道路占用料により貸付料を算定していることから、道路占用料の改定に合わせて貸付料を改定することにより増収を図るべきであったのに、この旨の条項が契約書に明確に定められていなかったなどのため、貸付料を改定しておらず、貸付料が低額となっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 5220万円)

○エヌ・ティ・ティ移動通信網株式会社

・資材調達業務委託契約に係る受託業務料の算定について

資材調達業務委託契約に係る受託業務料の算定に当たり、これに計上する人件費、物件費の範囲が明確でなかったなどのため、人件費の算出において、一括購買業務を担当する管理職の人件費を含めていなかったり、物件費の算出において、一般管理費を計上していなかったりなどしていて、受託業務料が過小となっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

(指摘金額 6190万円)