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  • 平成9年度|
  • 第1章 検査結果の概要|
  • 第2節 検査結果の大要|
  • 第1 事項等別の検査結果

事項別の検査結果の概要


B  事項別の検査結果の概要

 事項別の検査結果を省庁等別にみると次表のとおりである。

事項
省庁又は団体名
不当事項 意見を表示し又は処置を要求した事項 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項
会計検査院法第34条関係 会計検査院法第36条関係
是正改善の処置を要求したもの 改善の処置を要求したもの

総理府(防衛庁)

2

2
同(科学技術庁)


1 1
大蔵省 1

1 2
文部省 56
1
57
厚生省 136 2
2 140
農林水産省 36 2
4 42
通商産業省 9

1 10
運輸省


4 4
郵政省 28


28
労働省 5


5
建設省 9

3 12
自治省 1


1
農林漁業金融公庫 4


4
日本道路公団


1 1
首都高速道路公団


1 1
阪神高速道路公団


1 1
住宅・都市整備公団


2 2
労働福祉事業団 2


2
環境事業団 1


1
社会福祉・医療事業団 9


9
日本国有鉄道清算事業団


1 1
日本私立学校振興・共済事業団 7


7
日本たばこ産業株式会社


1 1
日本電信電話株式会社


2 2
四国旅客鉄道株式会社


1 1
九州旅客鉄道株式会社


1 1
エヌ・ティ・ティ移動通信網株式会社


1 1
農業者年金基金

1
1
304 4 2 30 340

 上記の各事項のほかに「特に掲記を要すると認めた事項」が1件あり、それらの事項の概要を示すと次のとおりである。

(不当事項)

 検査の結果、「不当事項」として計304件(指摘金額133億8279万余円)掲記した。これを収入、支出等の別に分類し、態様別に説明すると、次のとおりである。

1 収入に関するもの(計23件 63億4459万余円)

省庁又は団体名 租税 保険料 医療費 その他

大蔵省

1

1
文部省

17 1 18
厚生省
1

1
労働省
1

1
労働福祉事業団

2
2
1 2 19 1 23

 

(1) 租税 1件 13億7178万余円

<租税の徴収が適正でなかったもの>

○大蔵省

・租税の徴収に当たり、納税者が申告書等において所得金額や税額等を誤っているのに、課税資料の収集・活用が的確でなかったり、これを見過ごしたりなどしていたため、納税者449人からの徴収額に過不足があったもの

(2) 保険料 2件 48億1037万余円

<保険料の徴収が適正でなかったもの>

○厚生省

・健康保険及び厚生年金保険の保険料の徴収に当たり、派遣労働者を使用している派遣元の事業主等が、常用的に使用している派遣労働者等について、被保険者資格取得届の提出を怠るなどしていたのに、これに対する調査確認及び指導が十分でなかったため、1,879事業主からの徴収額が不足していたもの(1件 44億8491万余円)

○労働省

・労働保険の保険料の徴収に当たり、事業主からの申告書における賃金総額の記載が事実と相違するなどしていたのに、これに対する調査確認が十分でなかったため、568事業主からの徴収額に過不足があったもの(1件 3億2546万余円)

(3) 医療費 19件 1億5275万余円

<診療報酬の請求が適切でなかったもの>

○文部省

・大学病院における診療報酬の請求に当たり、手術において使用した特定保険医療材料の費用を算定していなかったり、基本的検体検査実施料等の費用を算定していなかったり、麻酔料に加算を行っていなかったりなどしたため、17大学の23大学病院で請求額に過不足があったもの(17件 1億3731万余円)

○労働福祉事業団

・労災病院における診療報酬の請求に当たり、麻酔料に係る加算を行っていなかったり、入院時医学管理料を低い診療点数により算定していたり、手術後医学管理料を算定していなかったりなどしたため、2労災病院で請求額が不足していたもの(2件 1544万余円)

(4) その他

1件 967万余円

<授業料の徴収が不足していたもの>

○文部省

・お茶の水女子大学において、授業料の免除に当たり、学生本人が受けている奨学金を給与所得として取り扱って世帯の総所得金額から必要経費を控除していたため、半額しか免除できないのに全額免除したり、全く免除できないのに半額又は全額免除したりしていたもの

2 支出に関するもの(計252件 66億5828万余円)

省庁又は団体名 予算経理 保険給付 医療費 補助金 貸付金 不正行為

文部省

22

15

37
厚生省
1 1 132
1 135
農林水産省


27 9
36
通商産業省


9

9
労働省
3 1


4
建設省


9

9
自治省


1

1
農林漁業金融公庫



4
4
環境事業団



1
1
社会福祉・医療事業団



9
9
日本私立学校振興・共済事業団


7

7
22 4 2 200 23 1 252

 

(1) 予算経理 22件 2億9960万余円

<架空の名目により謝金等を支出させ別途に経理していたもの>

○文部省

・文部省が都道府県の教育委員会等に委嘱又は委託して実施している教育関係事業等において、教育委員会等が、架空の名目により諸謝金支給調書、旅行命令書等の関係書類を作成するなどして、謝金、旅費等を出納部局に不正に支出させ、これを別途に経理し、同事業等の実施とは直接関係のない用途に使用するなどしていて、経理が著しく適正を欠いているもの

(2) 保険給付 4件 17億1402万余円

<保険の給付が適正でなかったもの>

○厚生省

・厚生年金保険の老齢厚生年金等及び国民年金の老齢基礎年金の支給に当たり、受給権者が事業所に常用的に使用されていて、年金の一部又は全部の支給を停止すべきであったのに、被保険者資格取得届が提出されず、これに対する都道府県(社会保険事務所)の調査確認及び指導が十分でなかったため、1,768人に対して支給停止の手続が執られず不適正に支給されていたもの(1件 15億4124万余円)

○労働省

・雇用保険の失業等給付金の支給決定に当たり、受給者が、再就職していながらその事実を申告書に記載していなかったり、事実と相違する再就職年月日を記載したりしていたのに、これに対する調査確認が十分でなかったため、352人に対する支給が適正に行われていなかったもの(1件 7554万余円)

・雇用保険の特定求職者雇用開発助成金の支給決定に当たり、事業主が申請書において既に雇用している者を新たに雇用したこととしているなど、その記載内容が事実と相違していたのに、これに対する調査確認が十分でなかったため、52事業主に対する支給が適正に行われていなかったもの(1件 6966万余円)

・雇用保険の地域雇用開発助成金の支給決定に当たり、事業主が申請書において、既に雇用している者を新たに雇用したこととしているなど、その記載内容が事実と相違していたのに、これに対する調査確認が十分でなかったため、4事業主に対する支給が適正に行われていなかったもの(1件 2756万余円)

(3) 医療費 2件 17億9647万余円

<医療費の支払が適切でなかったもの>

○厚生省

・特定入院料、入院時医学管理料、初診料・再診料等の診療報酬の支払に当たり、医療機関から不適正な診療報酬の請求があったのに、これに対する審査点検が十分でなかったなどのため、222医療機関に対する医療費の支払が適切でなく、これに対する国の負担が不当と認められるもの(1件 17億4953万余円)

○労働省

・労働者災害補償保険の療養の給付に要する診療費の支払に当たり、医療機関が入院料、手術料、処置料等を誤って算定し請求していたのに、これに対する審査が十分でなかったため、226医療機関に対する支払が適正に行われていなかったもの(1件 4694万余円)

(4) 補助金 200件 21億1301万余円

<補助事業の実施及び経理が不当なもの>

○文部省

・義務教育費国庫負担金等の算定において、国庫負担の対象にならない教員に係る給与費等を国庫負担対象額に含めたり、教職員定数の算定を誤ったりなどしていたため、負担金が過大に交付されていたもの(15件 1億6688万余円)

○厚生省

・社会福祉施設等施設整備費補助金等の交付に当たり、社会福祉法人等が、補助の対象とならない法人本部の施設工事費を補助対象事業費に含めたり、本体施設の建築工事を実績報告書記載の総事業費より低額で実施したりしていたため、補助金が過大に交付されるなどしていたもの(4件 2631万円)

・生活保護費負担金の算定において、保護を受ける世帯における就労収入等の額を過小に認定したり、保護を受ける世帯に係る診療報酬の負担額を過大に認定したりなどして保護費の額を決定していたため、負担金が過大に交付されていたもの(7件 5375万余円)

・老人福祉施設保護費負担金の算定において、老人の収入を誤認するなどして対象収入を過小に算定したり、主たる扶養義務者の認定を誤っていたりなどして、徴収金の額を過小に算定していたため、国庫負担対象事業費が過大に精算されていたもの(32件 3980万余円)

・児童保護費等負担金の算定に当たり、児童の扶養義務者の所得税額等を誤認するなどして徴収金の額を過小に算定していたため、国庫負担対象事業費が過大に精算されていたもの(16件 2240万余円)

・児童育成事業費補助金の算定に当たり、延長保育を利用した児童数が6人を超える場合に加算される額の算定の基礎となる平均利用児童数について、延長保育を実際に利用した児童数を用いずに、延長保育の希望を受けて登録した児童数を基にして計算していたため、補助金が過大に交付されていたもの(15件 1億3720万余円)

・国民健康保険の財政調整交付金の交付に当たり、市町村において、交付額算定の基礎となる調整対象収入額を過小に算定したり、保険料収納割合を事実と相違した高い割合としたりなどして交付申請を行っていたため、交付金が過大に交付されていたもの(57件 9億8920万余円)

・廃棄物処理施設整備事業における廃棄物再生利用施設の建設工事請負契約に当たり、高率な最低制限価格を設定し、これを下回る価格で入札した業者を排除していたため、割高な契約を締結することとなっていたもの(1件 1億7300万余円)

○農林水産省

・家畜導入事業資金供給事業の実施に当たり、架空の牛や肥育目的で導入した牛を事業の対象とするなどしていて補助の対象とならなかったり、導入牛が貸付期間中に売却されるなどしていて補助の目的を達していなかったりしているもの(1件 4326万余円)

・松くい虫防除事業の実施に当たり、被害木を伐倒し、切断・集積の上、希釈薬剤を散布する際、薬剤を希釈するための灯油の購入量が不足していたため、この不足量に相当する分の希釈薬剤の散布が行われていなかったもの(1件 1380万余円)

・山村振興等農林漁業特別対策事業の実施に当たり、木造平屋建ての建物の屋根部分の陸梁は平角材の一本物を使用して施工することになっているのに、平角材3本を継ぎ合わせていて、施工が設計と著しく相違していたため、積雪により建物の屋根部分が崩壊していて、工事の目的を達していないもの(1件 1250万円)

・林道開設事業の実施に当たり、橋りょう支承部の設計図面を作成する際、誤って、固定支承部と可動支承部を逆に設置することとしていて、設計が適切でなかったため、橋台等の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの(1件 600万余円)

・農業用施設災害復旧事業の実施に当たり、ため池堤体のグラウト工の注入費を積算する際、誤って、セメント袋数を過大に算出するなどしたため、工事費が割高となっているもの(1件 347万余円)

・草地畜産基盤整備事業の実施に当たり、法面のすべりを防止するためのロックボルトの応力計算をする際、ロックボルトに作用する引抜力を誤って算定したり、ロックボルトの引張り耐力を必要な計算をすることなく決定したりしていて、設計が適切でなかったため、法面の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの(1件 798万余円)

・農業集落排水事業の実施に当たり、道路の舗装面積の設計数量を算出する際、工事の進ちょくに伴い増加が見込まれるとして、設計図面に基づかない面積を計上するなどしたため、工事費が割高となっているもの(1件 383万余円)

・地域農業生産再編特別対策事業の実施に当たり、自動制御製茶機械の設置工事について、請負業者から工事費の値引きを受けて国庫補助対象事業費より低額で実施していたため、国庫補助対象事業費が過大に精算されていたもの(1件 1187万余円)

・県営農地保全整備事業の実施に当たり、ボックスカルバートの上の盛土重量を過小に計算していて、設計が適切でなかったため、ボックスカルバートの所要の安全度が確保されていない状態になっているもの(1件 561万余円)

・いもでん粉工場再編整備対策事業の実施に当たり、いもでん粉の製造業者が製造設備等の廃棄・撤去の工事費を過大に計上していたため、国庫補助金を原資とする助成金が過大に交付されていて、補助の目的に沿わない結果になっていたもの(2件 2234万余円)

・国庫補助金を原資とする林業改善資金の貸付けにおいて、借受者が、機械を貸付対象事業費より低額で購入したり、貸付けの対象とならない事業について貸付けを受けていたりなどしていて、補助の目的に沿わない結果になっていたもの(16件 2981万余円)

○通商産業省

・国庫補助金を原資とする中小企業設備近代化資金の貸付けにおいて、借主が、設備の設置に必要な長期資金を金融機関から借り入れた後に重複して貸付けを受けたり、設備を貸付対象事業費より低額で設置したり、自らの事業の用に供していなかったりなどしていて、補助の目的に沿わない結果になっていたもの(9件 2531万余円)

○建設省

・総合治水対策特定河川事業の実施に当たり、樋門の底版の上面側配筋図を作成する際に、誤って、主鉄筋を応力計算上安全とされている間隔の2倍の間隔で配置することとしていて、設計が適切でなかったため、樋門等の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの(1件 863万余円)

・市街地再開発事業の実施に当たり、補助対象事業費を算定する際に、共同建築物等の建設工事契約の実支出額を基にして共同施設の整備等に要した費用を算定すべきところ、誤って、契約額より高額な設計金額を基にして算定したため、補助金が過大に交付されていたもの(1件 2237万余円)

・都市モノレール事業の実施に当たり、PC軌道桁の伸縮継手の材料費を積算する際に、伸縮継手の所要数は、一方の桁に取り付ける伸縮継手とこれを受ける側の桁に取り付ける伸縮継手を合わせて一組であるとしていたのに、誤って、それぞれを一組であるとしていたため、その所要数が2倍に算出されていて、工事費が割高となっているもの(1件 7247万余円)

・道路災害防除事業の実施に当たり、吹付法枠工と一体となって道路法面の崩壊を防止することとしたロックボルト工を施工する際、所定の深度まで削孔作業を行っていなかったり、注人材の注入を十分に行っていなかったりなどしていて、施工が著しく粗雑であったため、ロックボルト工及び吹付法枠工が工事の目的を達していないもの(1件 4994万余円)

・道路改良事業の実施に当たり、コンクリート擁壁の地震時における安定計算の際に、擁壁背面に作用する土圧について、誤って、常時における値を用いるなどしていて、設計が適切でなかったため、擁壁の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの(1件 6060万余円)

・河川改修事業の実施に当たり、橋りょうの橋台と上部工の接点である支承部を施工する際、誤って、固定支承部と可動支承部を設計図面とは逆に施工していたため、橋台等の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの(1件 1397万余円)

・道路改良事業の実施に当たり、ブロック積擁壁工費を積算する際に、裏型枠の設置に係る工費はブロック積工費及び裏込めコンクリート工費の中に含まれているのに、誤って、別途に裏型枠工費を計上したため、工事費が割高となっているもの(1件 286万余円)

・街路事業の実施に当たり、トンネル内に設置する道路照明設備を設計する際、路面の舗装がアスファルト舗装であるのに、誤って、路面反射率の高いコンクリート舗装として路面輝度を算出したため、照明基準に定める路面輝度を満足していないもの(1件 486万余円)

・公営住宅家賃収入補助金の交付に当たり、県において、明渡しを請求して入居許可を取り消した住居を空家戸数に含めるべきであるのに、その取扱いを誤って補助対象率を算出したため、補助金が過大になっていたもの(1件 1947万余円)

○自治省

・消防防災施設整備事業の実施に当たり、耐震性貯水槽の設計の際に応力計算を行っておらず、設計が適切でなかったなどしたため、耐震性貯水槽の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの(1件 839万余円)

○日本私立学校振興・共済事業団

・私立大学等経常費補助金の交付に当たり、学校法人から提出された資料に、補助金の算定の基礎となる教育研究経費支出等の額に含めないこととされている建物の工事費等の支出額が計上されるなどしているのに、この資料に基づいて補助金の額を算定したため、交付額が過大になっていたもの(7件 5500万余円)

(5) 貸付金 23件 7億2670万余円

<貸付金の経理が不当なもの>

○農林水産省

・国の貸付金等を原資とする農業改良資金の貸付けにおいて、借受者が、貸付けの対象とならない事業について貸付けを受けたり、機械等を貸付対象事業費より低額で購入したり、機械を県に無断で処分したりなどしていて、これに係る国の貸付金等相当額が貸付け等の目的に沿わない結果になっていたもの(9件 2742万余円)

○農林漁業金融公庫

・農業経営基盤強化資金等の貸付けにおいて、借入者が、機械の設置等に必要な長期資金を金融機関から重複して借り入れていたり、貸付対象事業のほとんどを実施していなかったりなどしていたため、貸付金が過大に貸し付けられていたもの(4件 6784万余円)

○環境事業団

・産業廃棄物処理施設の設置に要する資金の貸付けにおいて、借入者が施設を貸付対象事業費より低額で設置していたため、貸付金が過大に貸し付けられていたもの(1件 1億3140万余円)

○社会福祉・医療事業団

・福祉貸付資金等の貸付けにおいて、借入者が、施設の建築等を貸付対象事業費より低額で実施したり、事業実施のために交付された補助金等を貸付対象事業費の財源に算入していなかったりしていたため、貸付金が過大に貸し付けられるなどしていたもの(9件 5億0002万余円)

(6) 不正行為 1件 845万余円

<現金が領得されたもの>

○厚生省

・社会保険事務所の職員が、政府管掌健康保険の高額療養費の支給決定事務に従事中、虚偽の支給申請書を作成して自ら支給決定を行い、知人に受領させるなどして高額療養費を領得したもの

3 収入支出以外のもの (計29件 3億7992万余円)

省庁名 不正行為

文部省

1
郵政省 28
29

 

不正行為 29件 3億7992万余円

<現金が領得されたもの>

○文部省

・国立大学の職員が、委任経理金(奨学寄附金)の払出事務等に従事中、無断で預金口座から払出しを受けて委任経理金を領得したもの(1件 191万円)

○郵政省

・郵便局の出納員等28名が、預金者から預け替えを依頼された通常郵便貯金預入金、保管に係る資金、契約者から受領した保険料等を領得したもの(28件 3億7801万余円)

(意見を表示し又は処置を要求した事項)

 「意見を表示し又は処置を要求した事項」として計6件(指摘金額 77億3610万円)掲記した。

1 会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求した事項
4件

○厚生省

・在宅福祉事業費補助金(老人デイサービス運営事業分)の算定について

在宅福祉事業費補助金の算定に当たり、サービスに伴う食材費、光熱水費等の原材料費等は補助対象経費の実支出額に含めない取扱いとしているのにこれを除外していなかったり、利用者から徴収した利用料収入については総事業費から控除する取扱いとしているのにこれを控除していなかったりしていた。このため、21都道府県の市区町村において国庫補助金が過大に算定されている事態が見受けられた。したがって、厚生省において、原材料費等の範囲を具体的に示すとともに、適正な補助金の算定方法を交付要綱において明確にするなどの処置を講ずる要がある。(指摘金額 2億1267万円)

・政府管掌健康保険生活習慣病予防健診事業の実施について

社会保険庁では、政府管掌健康保険生活習慣病予防健診事業を行うに際し、その事務の一部を、都道府県に委任するとともに社会保険健康事業財団に委託している。そして、都道府県は、健康保険病院などの実施機関に健診を委託している。この事業の実施に当たり、29都道府県において、国の負担する健診の委託費を会計法令に違背して異なる年度の予算で支払っていたり、国の負担は同一年度において受診者1人につき1回に限るのに、2回以上健診の委託費を支払っていたりする事態が見受けられた。また、このうち4府県において、実施機関からの受診者数を水増しした虚偽の健診実施状況報告書等による不適正な請求に対して健診の委託費を支払っている事態が見受けられた。したがって、同庁において、都道府県に対し予算執行残額を確認した上で健診の勧奨等を行うなどさせ、会計法令に従った適切な事務処理が行われるよう指導したり、財団との委託契約書に、実施機関の作成した健診結果通知票と請求書の人数を対比することなどについて明記し、実施機関から不適正な請求がなされないようにしたりするなどの処置を講ずる要がある。(指摘金額 21億7737万円)

○農林水産省

・先進的農業生産総合推進対策事業等による農産物処理加工施設等の設置及び運営について

補助事業により整備した農産物の処理加工施設等の運営において、施設の運営を中止していたり、利用率が著しく低くなっていたり、運営収支が赤字となっていたりしていて、設置した施設が農業生産性の向上等に寄与しておらず、事業の効果が十分発現していない事態が、22道県の55施設において見受けられた。したがって、農林水産省において、事業主体の実施計画の策定に当たり施設の規模等について十分に検討をさせたり、実施後において改善計画を確実に作成させるような体制を整備したりなどして、事業の効果を発現させる要がある。(指摘金額 20億1795万円)

・林業構造改善事業等による施設の設置及び運営について

補助事業により整備した収入で支出を賄うことを原則とする製材加工施設等の運営において、損失額が多額に上っていることにより、遊休したままとなっていたり、健全な経営の継続が困難な状況となっていたりしていて、事業の効果が十分発現していない事態が、11道県の27施設において見受けられた。したがって、林野庁において、事業主体等に、施設の規模、事業主体の技術力等について、専門家による経営診断等を受けさせ、その結果を事業計画に反映させたり、実施後の収支等の実績を把握できるような体制を整備したりなどして、事業の効果を発現させる要がある。(指摘金額 33億2811万円)

2 会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した事項
2件

○文部省

・科学研究費補助事業の実施について

大学の研究者等が実施する基礎的研究について費用を助成する科学研究費補助事業の実施に当たり、研究期間終了後は研究成果を社会へ還元させるとともに、科学研究費補助金による研究の評価の充実に資するため研究成果報告書等の提出が義務付けられているのに、提出期日までに提出されておらず研究成果の社会への還元がされていないものが、20大学等において205件見受けられた。したがって、文部省において、科学研究費補助金の目的、研究成果報告書等の提出の重要性等について研究者等への啓蒙を徹底するなどして、研究成果報告書等の提出の徹底を図る要がある。


背景金額 22億7360万円

研究成果報告書等が提出されていない研究課題に係る国庫補助金交付額

○農業者年金基金

・農業者年金事業の実施について

農業者年金事業の実施に当たり、年金の未加入者が多数いたり、時効により徴収できなくなった保険料が多額に上っていたり、受給権者の現況の確認等が適切に行われていなかったため経営移譲年金が適切に支給されていなかったり、加算付経営移譲年金の受給権者の後継者が、経営移譲を受けた後、農業者年金の被保険者資格を喪失するなどしていて、加算付経営移譲年金の効果が確保されているとは認められなかったりしている事態が見受けられた。したがって、農業者年金基金は、未加入者名簿の的確な整備を図り、効果的な加入促進を行ったり、経営移譲年金の支給の際、諸名義の変更を確実に行うことなどについて経営移譲者に対し周知徹底を図ったりするなど、農業者年金事業のより適切な事業の実施を図る要がある。


背景金額 29億6337万円

年金に加入していないことにより徴収できない保険料相当額、時効により徴収できなくなっていた保険料など

(本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項)

 「本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項」として計30件(指摘金額 32億4984万円)掲記した。

○総理府(防衛庁)

・航空タービン燃料JP−4の調達について

航空タービン燃料JP−4の調達に当たり、調達実施本部では、当初の指名競争入札が不調となり、その後予定価格より高い価格を基にすべての会社が同じ価格となるよう商議をした後、この価格を基にして会社が見積った最終の商議価格と同額を再予定価格として再度の指名競争入札を実施し、その結果、最終商議を行った者が1回で落札するという一連の調達手続が慣例化していた。このことにより、再度の指名競争入札で指名を受けたすべての会社が再予定価格を推定し得るという結果を招いていた。このため、指名競争入札における会社間の競争が阻害され、十分な競争が行われていなかった。


背景金額 485億0698万円

平成7年度から9年度までの調達契約金額

・建物等移転補償におけるコンクリート解体費の積算について

建物等移転補償におけるコンクリート解体費の積算に当たり、施工の実態に適合した単価の適用等について指示していなかったため、コンクリート数量が多く施工現場が広い場合においても、数量が少なく施工現場が狭い場合などに適用する単価を採用していて、解体費の積算額が過大になっていた。(指摘金額 2300万円)

○総理府(科学技術庁)

・電気需給契約における夏季割引制度の導入について

特別高圧電力の電気需給契約において、年度開始前に策定した運転計画や従来の使用電力の実績等からみて、設備の定期保守点検作業を行う夏季の使用電力は契約電力の30%以上低減することが十分予測できたのに、放射線医学総合研究所において、このような場合適用される夏季割引制度を導入するための協議を電力会社と行っていなかったため、電気料金が不経済となっていた。(指摘金額 1670万円)

○大蔵省

・工場等での請負契約における社会保険料等の積算について

工場等での業務請負契約における社会保険料等の事業主負担額の積算に当たり、保険料等の徴収の対象外となっている高年齢者等が多数雇用されていたのに、その実態を反映させていなかったため、印刷局において、社会保険料等の積算額が過大になっていた。(指摘金額 4690万円)

○厚生省

・特別養護老人ホーム等の入所者に対する診療報酬の請求の取扱いについて

特別養護老人ホーム等の施設の入所者に対する診療報酬の請求に当たり、厚生省においてその取扱いを明確にしていなかったなどのため、施設の入所者を配置医師の所属する医療機関へ通院させて行った診療について診療報酬を請求していたり、施設に配置されている看護婦等が入所者に対して行った行為について診療報酬を請求していたりなどしていて、72医療機関において医療費が不適切に支払われていた。(指摘金額 2億4528万円)

・未利用国有地の有効利活用について

厚生保険特別会計等に属する国有地において、現況等の把握、利用方針の策定、処理計画の決定等が適切に行われていなかったため、社会保険庁及び25都道府県において122口座、58,151m2 の土地が未利用となっており、有効に利活用されていなかった。


背景金額 32億1212万円

未利用国有地の国有財産台帳価格

○農林水産省

・漁港整備事業等における消波工の設計について

補助事業に係る漁港整備事業等における消波工の設計に当たり、消波ブロックの施工技術が向上してきたため、乱積工法による消波工の天端幅について、メーカーが示した数値を用いても、設計の基準で定めている幅を確保できるのに、水産庁においてメーカーの数値より高い数値を使用するよう指導していたため、264工事において消波ブロックの製作、据付費等が不経済となっていた。(指摘金額 8億0370万円)

・政府米の運送業務におけるトラック運賃の算定について

政府米の運送業務委託契約において、実際の使用車両のトン数にかかわりなく全国一律で10トン車を基準車両としたトラック運賃に基づいて契約単価を算定していたため、一部の地区において契約単価が運送の実態を反映したものとなっておらず、トラック運賃の支払額が過大になっていた。(指摘金額 2億2050万円)

・農業改良資金の青年農業者等育成確保資金に係る貸付事業について

農業改良資金の青年農業者等育成確保資金の貸付けに当たり、19道県において借受者が、他に転職するなどし、貸付対象である農業経営を中止していて、貸付目的が達成されていなかった。また28道県において、貸付対象である農業経営の収支が計画目標額等を大幅に下回っているなどしていて、貸付けの効果が十分発現していなかった。(指摘金額 1億8919万円)


背景金額 39億5734万円

貸付けの効果が十分発現していない国の貸付金等相当額

・国営かんがい排水事業の施行について

国営かんがい排水事業の施行に当たり、国営事業と都道府県や市町村等が実施する附帯事業とが連携して施行されることにより事業全体の効果が発現されるのに、国営事業の着手時までに附帯事業の予定実施時期が定められておらず、着手後も附帯事業の事業管理が行われていなかった。そして、国営事業の経済効果の評価の指標となる投資効率が一律の係数により算定されていたため、事業全体の実施時期が経済効果の評価に的確に反映されないまま事業が着手されていた。このため、20地区において、国営事業が完了又はほぼ完了しているのに、附帯事業の整備面積の一部が整備されておらず、かんがい排水事業全体の事業効果が発現していなかった。


背景金額 6967億円

国営事業に係る9年度末までの支出済額

○通商産業省

・中小企業設備貸与事業の財源調達について

中小企業設備貸与事業の財源調達に当たり、〔1〕 都道府県の特別会計において、中小企業者に貸し付ける直貸資金に多額の資金余剰を生じている一方、設備貸与事業を行う貸与機関に貸し付ける貸与資金に資金不足を生じているものがあるのに、資金を相互に融通するなどしておらず、国からの補助金等により資金を追加造成していた。〔2〕 貸与機関において、多額の内部資金を保有しているのに、貸与財源に充当できる自己資金の範囲が内部資金の一部に限定されていることから、貸与財源の大半を中小企業金融公庫等からの借入金で調達しており、内部資金は当面使用する見込みのない資金余剰となっている状況であった。このため、24府県において、特別会計の資金の有効活用が図られておらず、また、24貸与機関において、同公庫等からの有利子の借入金の削減が図られていなかった。


背景金額 184億円

府県の特別会計において有効利用を図ることが見込める造成資金額 33億円

貸与機関において削減が見込める中小企業金融公庫等からの借入金額 151億円

○運輸省

・補助事業に係る岸壁等の築造工事における吸出防止材の選定について

補助事業に係る岸壁等の築造工事に使用する吸出防止材の選定に当たり、国の直轄事業で築造する岸壁等に使用されている吸出防止材と比較して、必要以上に高規格で、価格も高価なものを選定していたため、39工事において吸出防止材の材料費が不経済となっていた。(指摘金額 3690万円)

・電気需給契約における季節別時間帯別電力の適用について

業務用電力等の電気需給契約において、夜間時間等に使用する電力量の割合が相当大きかったのに、夜間時間等の料金が大幅に安価となる季節別時間帯別電力の適用を受けていなかったため、海上保安庁の7官署及び気象庁の2官署において電気料金が不経済となっていた。(指摘金額 2560万円)

・高速専用回線の契約における長期継続利用割引制度の活用について

気象観測データ等の伝送に利用する高速専用回線の契約に当たり、個々の回線の利用開始時点において、回線ごとの整備計画の有無やその実施年度等を検討すれば、所定の期間は回線の利用形態に変更がないことを予測できたのに、回線を所定の期間継続して利用する者に適用される長期継続利用割引を受けていなかったため、109回線の使用料が不経済となっていた。(指摘金額 1410万円)

○建設省

・下水道事業の実施における汚水管の管径の設計について

補助事業に係る下水道事業における汚水管の設計に当たり、設計指針において、流量計算により汚水管の管径が200mm未満となる場合は、汚水管の維持管理等に支障を生じないよう最小菅径を200mmとすることとなっているのに、53事業主体において、具体的な根拠もなく最小管径を一律に250mmとしていたため、汚水管の材料費が不経済となっていた。(指摘金額 4510万円)

・国道のバイパス供用開始に伴う旧道の地方公共団体への引渡しについて

国道のバイパス供用開始に伴う旧道の地方公共団体への引渡しに当たり、旧道の処理に係る地方公共団体との協議が供用開始までに完了していなかったり、旧道の修繕工事等の着手に相当期間を要したりなどして、7区間において引渡しが遅延していたため、旧道の引渡しまでの間の管理費用が不経済となっていた。(指摘金額 2920万円)

・河川改修事業等の護岸の根入れ部に使用する材料の選定について

河川改修事業等の護岸の根入れ部の設計に当たり、施工箇所の河床が安定していて流水等による洗掘のおそれが少ない場合については、護岸の根入れ部に使用する材料は、自然石に比べて入手が容易で工事費も低廉な普通ブロックとしても景観上の問題は生じないのに、自然石を使用することとしていたため、79工事において工事費が不経済となっていた。(指摘金額 5860万円)

○日本道路公団

・橋りょう工事における下部工検査路の設計について

橋りょうに設置する定期点検等のための下部工検査路の設計に当たり、支持部材の設置間隔と所定の荷重に耐えられる主桁の部材の規格との組合せについては最も経済的なものを選定する要があったのに、上部工検査路の設計をそのまま準用するなどしていたため、177工事において工事費が不経済となっていた。(指摘金額 8800万円)

○首都高速道路公団

・料金収受業務委託契約における厚生年金保険料等の積算について

料金収受業務委託契約における厚生年金保険料等の事業主負担額の積算に当たり、保険料等の徴収の対象外となっている高年齢者が多数雇用されていたのに、その実態を反映させていなかったため、19契約において厚生年金保険料等の積算額が過大になっていた。(指摘金額 2億1450万円)

○阪神高速道路公団

・料金収受業務委託契約における厚生年金保険料等の積算について

料金収受業務委託契約における厚生年金保険料等の事業主負担額の積算に当たり、保険料等の徴収の対象外となっている高年齢者が多数雇用されていたのに、その実態を反映させていなかったため、15契約において厚生年金保険料等の積算額が過大になっていた。(指摘金額 1億7050万円)

○住宅・都市整備公団

・受託業務に係る外注費及び間接経費を委託者へ負担させることについて

道路、公園等の公共公益施設の整備を地方公共団体から受託するに当たり、設計、工事監督等を外注する場合の外注費及び受託業務の実施に伴う人件費、物品費等の間接経費は、受託業務の実施のために必要な経費であることから、委託者である地方公共団体に負担させるべきであるのに、外注費の一部や間接経費を負担させていなかったため、4支社において、委託者から収受する受託費が低額となっていた。(指摘金額 2億7017万円)

・賃貸住宅の修繕工事における外部足場費の積算について

賃貸住宅の修繕工事における外部足場費の積算に当たり、修繕日数について標準的な施工日数を設定することが可能であるのに、標準的な施工日数を設定していなかったり、外部足場の架設・撤去日数について、実際の作業では資材を順次搬入、搬出しているのに、一括して搬入、搬出することとして損料を算定したりしたため、36工事において外部足場費の積算額が過大になっていた。(指摘金額 6100万円)

○日本国有鉄道清算事業団

・固定資産税及び都市計画税の納付について

固定資産税等の納付に当たり、JR東日本等が旧国鉄等から承継した土地で事業団名義となっているものや事業団の非課税の土地などに対して課税されていたのに、土地についての状況を十分把握していなかったなどのため、8支社において、負担する必要がなかった固定資産税等を納付していた。(指摘金額 1億4710万円)

○日本たばこ産業株式会社

・たばこの保管・仕分設備の使用料の算定について

輸入たばこの保管・仕分設備の貸付けにおいて、取扱業者から収受する設備使用料の算定に当たり、貸付設備の投資回収期間を法定耐用年数の12年とすべきなのに、20年としていたため、設備使用料の効率的な回収が図られていなかった。(指摘金額 1億0720万円)

○日本電信電話株式会社

・電話回線等の伝送装置に搭載する蓄電池の設計について

停電時の予備電源として電話回線等の伝送装置に搭載する蓄電池の設計に当たり、停電に対する保守体制が夜間無派遣から常時対応へと移行してきたことなどから、蓄電池の保持時間を短く設定したり、小容量の蓄電池を選定したりすることができたのに、10支社において、保守体制を夜間無派遣と想定して保持時間及び容量を算出したため、蓄電池の購入費が不経済となっていた。(指摘金額 5920万円)

・公衆電話機用収納設備の借料の算定について

公衆電話機用収納設備の調達、保守管理等の業務委託契約において、受託会社に購入させて使用する収納設備の借料を、耐用年数を超え、調達に要した額が回収されているものについても支払っていたため、10支店において、委託費が不経済となっていた。(指摘金額 1億8070万円)

○四国旅客鉄道株式会社

・光ファイバケーブル新設工事における敷設費及び接続費の積算について

光ファイバケーブル新設工事における敷設費及び接続費の積算に当たり、単心形の光ファイバケーブルに代わり4本の光ファイバを束ねた構造のものが広く使用されるようになっており、光ファイバケーブルの敷設及び接続作業が能率的になっているのに、積算の基準が施工の実態を反映していなかったため、7工事において敷設費及び接続費の積算額が過大になっていた。(指摘金額 7390万円)

○九州旅客鉄道株式会社

・光ファイバケーブル新設工事における敷設費の積算について

光ファイバケーブル新設工事における敷設費の積算に当たり、単心形の光ファイバケーブルに代わり4本の光ファイバを束ねた構造のものが広く使用されるようになっており、光ファイバケーブルの敷設作業が能率的になっているのに、積算の基準が施工の実態を反映していなかったため、6工事において敷設費の積算額が過大になっていた。(指摘金額 5880万円)

○エヌ・ティ・ティ移動通信網株式会社

・無線装置の増設に係る専用回線の使用契約について

無線装置と交換機の間の専用回線に係る使用契約に当たり、無線装置を増設して交換機との専用回線を新設した場合は、増設した設備の信頼性を確認した後に、NTTに対して不要となった既存の専用回線を利用休止する請求ができたのに、これを行っていなかったため、17回線に係る使用料金が不経済となっていた。(指摘金額 6400万円)

(特に掲記を要すると認めた事項)

 「特に掲記を要すると認めた事項」として1件掲記した。

・アメリカ合衆国政府の有償援助による装備品等の調達について

防衛庁では、昭和31年度以降アメリカ合衆国政府の有償援助(FMS)により装備品等の調達を実施している。 FMS調達は有償援助であることから合衆国政府から種々の取引条件が示されており、そのうちの一つに代金の前払が定められている。平成9年度末現在において、前払金のうち未精算となっている額は3345億円の多額に上っている。検査したところ、出荷予定時期を過ぎているのに調達品等の納入が大幅に遅延していて、装備品等が本来の機能を十分発揮していない事態、納入後1年以上経過しているのに精算が完了していない事態、合衆国政府の見積価格が高めに設定される傾向にあるため前払金が過大となっている事態が見受けられた。防衛庁では、これらの事態について適切を欠く事態と認識し、これまで合衆国政府と出荷及び精算の促進について討議するなどの対策を執ってきているが、依然、事態の抜本的な改善が見られていない。これらの事態が解決されないまま推移すると、資金が利息も発生しないままアメリカ合衆国に滞留することとなり、国庫金の有効活用が図られないこと、防衛力の整備に支障を来す懸念があることなどが継続すると認められる。これらの事態が生じているのは、基本的には合衆国政府の事情によるものであるが、防衛庁においても、限られた予算を効率的に使用して我が国の安全を確保するため更に関係機関と調整を図りながら問題解決に向けた新たな方策を導入するよう努力するなどして可能な限り事態の改善を図り、国費の使用について国民の理解が得られるよう努めることが望まれる。


背景金額 1454億円

平成9年度末現在の前払金の精算が完了していないもののうち出荷予定時期を過ぎたものの金額