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  • 昭和57年度|
  • 第1章 検査結果の概要

不当事項等の概要


第2節 不当事項等の概要

検査の結果について、「不当事項」、「意見を表示し又は処置を要求した事項」、「本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項」及び「特に掲記を要すると認めた事項」の各事項に区分して、その指摘の件数を示すと次表のとおりである。

事項
省庁等名

不当事項

意見を表示し又は処置を要求した事項

本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項 特に掲記を要すると認めた事項

会計検査院法第34条関係 同法第34条及び第36条関係

同法第36条関係

是正改善の処置を要求したもの 改善の処置を要求したもの 意見を表示したもの 改善の処置を要求したもの

裁判所

1

1
総理府(北海道開発庁) 1             1
〃(防衛庁) 5             5
法務省 1             1
大蔵省 4             4
文部省 10             10
厚生省 29  

1

        30
農林水産省 18 3

 

 

1 1

 

23
通商産業省 17          1   18
運輸省 3         3   6
郵政省 30 1  

 

      31
労働省 18

  1       19
建設省 18 2  

 

    1 21
自治省 1

 

 

 

      1
日本専売公社       1       1
日本国有鉄道 3 1  

 

  3 1 8
日本電信電話公社 2 1   1       4
住宅金融公庫

 

1           1
農林漁業金融公庫 6             6
公営企業金融公庫 1             1
医療金融公庫 6             6
日本道路公団           2   2
首都高速道路公団           1   1
本州四国連絡橋公団           1   1
日本鉄道建設公団             1 1
雇用促進事業団 1             1
日本原子力船研究開発事業団             1 1
宇宙開発事業団           1   1
中小企業事業団 4             4
日本私学振興財団 2             2
帝都高速度交通営団           1   1

181 9 1 3 1 14 4 213

 上記の各事項について、その概要を示すと次のとおりである。

(不当事項)

 検査の結果、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項を「不当事項」として、計181件を掲記した。これを収入、支出等の別に分類し、態様別に説明すると、次のとおりである。

1 収入に関するもの(計5件 21億7279万余円)

省庁名 租税 保険 不正行為

大蔵省

1

1
厚生省   2   2
労働省   1 1 2

1 3 1 5

 

2 支出に関するもの (計146件 35億3695万余円)

省庁又は団体名 工事 役務 保険 補助金 貸付金 不正行為 その他
総理府
(北海道開発庁)


(防衛庁) 1     4       5
法務省           1   1
大蔵省         3     3
文部省 1     9       10
厚生省     1 26       27
農林水産省       18       18
通商産業省       17       17
運輸省       3       3
郵政省         1     1
労働省   1 2 13       16
建設省       18       18
自治省       1       1
日本国有鉄道 2           1 3
日本電信電話公社 2             2
農林漁業金融公庫         6     6
公営企業金融公庫         1     1
医療金融公庫         6     6
雇用促進事業団   1           1
中小企業事業団         4     4
日本私学振興財団       2       2

7 2 3 111 21 1 1 146

 

(1) 工事 7件 2億3484万余円
<計画、設計が適切でなかったもの> 3件  1億0919万余円

○文部省

・中高層大気観測施設の敷地造成等の工事の施行に当たり、電波障害防止フェンスの支柱の設計が適切でなかったため、フェンスの強度が著しく低下していたもの(1件 4169万余円)

○日本国有鉄道

・貨物設備改良工事の施行に当たり、貨物輸送合理化計画を考慮せずに従前の工事計画により改良工事を施行したため、不経済になったもの(1件 4420万余円)

○日本電信電話公社

・事務庁舎新築工事の設計に当たり、鉄骨工事の鋼板の選定が適切でなかったため、設計額が過大となり、契約額が高価となったもの(1件 2330万余円)

<予定価格の積算が適切でなかったもの> 2件 6870万余円

○総理府(防衛庁)

・給油所設備工事の施行に当たり、タンク室の防水モルタル工の単価を誤ったため、契約額が割高になったもの(1件 710万余円)

○日本電信電話公社

・臨時電話架設工事の施行に当たり、電話機の新設費及び撤去費の積算に適用した複合単価が作業の実態に即した適切なものでなかったため、契約額が割高になったもの(1件 6160万余円)

<監督、検査が適切でなかったもの> 2件 5695万余円

○総理府(北海道開発庁)

・トンネル工事の施行に当たり、アーチ部の覆工コンクリート等を設計と相違して施工したもの(1件 2647万余円)

○日本国有鉄道

・軌道工事の施行に当たり、在来路盤のすき取り等を設計と相違して施工したもの(1件 3048万余円)

(2) 役務 2件 1485万余円
<委託費の支払が適正でなかったもの>

○労働省

・身体障害者職業訓練校等の運営委託に当たり、委託費の精算が適切でなかったため、支払額が過大となったもの(1件 630万余円)

○雇用促進事業団

・身体障害者雇用納付金関係業務の委託に当たり、委託費の精算が適切でなかったため、支払額が過大となったもの(1件 854万余円)

(3) 保険 3件 2億3463万余円
<傷病手当金等の支給が適正でなかったもの> 1件 1749万余円

○厚生省

・健康保険の傷病手当金等の支給に当たり、支給の原因となる事実についての調査が十分でなかったため、支給が適正に行われていなかったもの

<保険給付金の支給が適正でなかったもの> 2件 2億1714万余円

○労働省

・雇用保険の失業給付金の支給に当たり、支給の原因となる事実についての調査が十分でなかったため、支給が適正に行われていなかったもの(1件 1億5777万余円)

・雇用保険の特定求職者雇用開発助成金の支給に当たり、支給の原因となる事実についての調査が十分でなかったため、支給が適正に行われていなかったもの(1件 5936万余円)

(4) 補助金 111件 25億0436万余円
<補助事業の実施及び経理が不当なもの>

○総理府(防衛庁)

・防衛施設周辺整備関係補助事業において、工事の契約処置が適切でなかったもの(4件 1920万余円)

○文部省

・公立小学校校舎増築事業等において、補助の対象とは認められないものを事業費に含めていたもの、事業の一部を実施していなかったものなど(9件 5208万余円)

○厚生省

・老人福祉施設保護費補助金及び保育所措置費補助金に係る補助対象事業費を過大に精算していたもの(26件 5844万余円)

○農林水産省

・水田利用再編対策事業、地域農業生産総合振興事業等において、補助の対象とは認められないもの、事業費を過大に精算していたものなど(18件 9800万余円)

○通商産業省

・補助金を原資とする中小企業設備近代化資金の貸付けにおいて、借主が設備を、貸付対象事業費より低額で設置していたもの、既往年度に設置していたものなど補助の目的に沿わない結果になっていたもの(17件 4957万余円)

○運輸省

・海岸事業、地下高速鉄道建設事業等において、工事の施工が設計と相違していたもの、補助の対象とは認められないものを事業費に含めていたもの(3件 4777万余円)

○労働省

・職業転換訓練事業、職業訓練事業等において、補助の対象とは認められないものを事業費に含めていたもの及び事業費を過大に精算していたもの(12件 3633万余円)

・学校法人産業医科大学及び大学病院の運営事業において、補助の対象とは認められないものを事業費に含めていたもの(1件2002万余円)

○建設省

・道路事業、河川事業、災害復旧事業等において、工事の設計又は工事費の積算が適切でなかったもの、工事の施工が設計と相違していたものなど(18件 6407万余円)

○自治省

・消防施設等整備事業において、事業費を過大に精算していたもの(1件 12万余円)

○日本私学振興財団

・私立大学等経常費補助金の交付に当たり、故意に事実と異なる内容を記入した資料を提出し、また、学校法人会計基準等に違背して補欠入学者に係る寄附金の経理を行うなど経理その他管理運営が著しく適正を欠いた学校法人に対して補助金を交付していたものなど(2件 20億5872万余円)

(5) 貸付金 21件 5億1285万余円
<貸付金の経理が不当なもの>

○大蔵省

・資金運用部資金の貸付けにおいて、貸付対象事業の一部が実施されていなかったもの、貸付対象事業費より低額で事業が実施されていたものなど(3件 1億1827万余円)

○郵政省

・簡易生命保険及び郵便年金の積立金の貸付けにおいて、貸付対象事業費より低額で事業が実施されていたもの(1件 44万余円)

○農林漁業金融公庫

・振興山村・過疎地域経営改善資金等の貸付けにおいて、貸付対象事業の一部が実施されていなかったもの及び貸付対象事業費より低額で事業が実施されていたもの(2件 1467万余円)

・1事業主体において不当の事態があった結果、土地改良資金の貸付けにおいて、貸付対象事業費より低額で事業が実施されていたもの(4件 329万余円)

○公営企業金融公庫

・公営企業金融公庫資金の貸付けにおいて、貸付対象事業の一部が実施されていなかったりなどしていたもの(1件 5420万余円)

○医療金融公庫

・新築資金、増改築資金等の貸付けにおいて、貸付けの対象とならないものに貸し付けていたもの及び貸付金額を過大に算定していたもの(6件 1億1919万余円)

○中小企業事業団

・中小企業高度化資金の貸付けにおいて、貸付対象施設を無断で処分していたものなど貸付けの目的に沿わない結果になっていたもの(4件 2億0276万余円)

(6) 不正行為 1件 199万余円
<現金が領得されたもの>

○法務省

・入国管理局の職員が、日本銀行に債権者の預金口座への国庫金振込手続をする際、一部を自己名義の預金口座へ振り込ませて領得したもの

(7) その他
1件
3340万余円
<負担金の支払が適切でなかったもの>

○日本国有鉄道

・公共下水道工事に伴う負担金の支払に当たり、国庫補助金が交付されることとなっているのに、これを負担金の対象から除外することなく支払っていたもの

3 収入、支出以外のもの (計30件 5億5799万余円)

省庁名 不正行為
裁判所
1
郵政省 29

30

 

不正行為 30件 5億5799万余円
現金が領得されたもの>

○裁判所

・地方裁判所の職員が、保管金提出者から受け入れた保管金を領得したもの(1件391万余円)

○郵政省

・郵便局の出納官吏又は出納員が、郵便貯金の預入金、出納官吏の保管に係る資金等を領得したもの(29件 5億5407万余円)

(意見を表示し又は処置を要求した事項)

 会計検査院法第34条又は第36条の規定により、昭和58年中に関係大臣等に対して意見を表示し又は処置を要求した事項を「意見を表示し又は処置を要求した事項」として、14件を掲記した。

1 会計検査院法第34条の規定によるもの

9件

○農林水産省

・国営及びこれに附帯する道府県営のかんがい排水事業によって生じた農業用用排水施設の管理について

かんがい排水事業によって生じた農業用用排水施設が、国又は県に無断で、上水道事業及び工業用水道事業等の用水の取水のために使用されていたり、工場廃水等の排水路として使用されていたりしているので、指導、監督を徹底するなどして管理の適正を期する要がある。

・林業改善資金の貸付けについて

貸付けの対象にならないものに貸し付けているもの、貸付対象事業が実施されていないもの、貸付決定前に事業が実施されているものなど、貸付制度の趣旨に沿わない事態があるので、審査、確認業務を的確に実施するなどの措置を講ずる要がある。

・沿岸漁業改善資金の貸付けについて

貸付対象事業が実施されていないもの、貸付決定前に事業が実施されているものなど、貸付制度の趣旨に沿わない事態があるので、審査、確認業務を的確に実施するなどの措置を講ずる要がある。

○郵政省

・郵便物取集業務の委託契約について

郵便物取集業務の実態に適合した車種の導入を図らなかったため、集配運送費が不経済となっているので、車種の切替えを行い経費の節減を図る要がある。

○建設省

・公営住宅関係国庫補助事業の実施及び経理の適正化について

公営住宅の入居者の決定が適切でなく、公営住宅建設事業の目的を達していないなどの事態となっているので、法令等を遵守させるなどの適切な指導を行い経理の適正を確保する要がある。

・地方公共団体が実施している住宅新築資金等貸付事業に対する国庫補助金の経理について

住宅新築資金等の貸付後、相当期間経過しても住宅の新築等が実施されていないなど補助の目的が達成されていないので、地方公共団体に対して適切な指導を行う要がある。

○日本国有鉄道

・固定資産の貸付け等について

固定資産の貸付けに当たり使用料が低額となっていたり、業務に関連があるため無償で貸し付けた施設が目的外に使用されていたりなどしているので、貸付基準の適用方を明確にするなどして、固定資産の効率的な利活用を図る要がある。

○日本電信電話公社

・各種システムサービスのセンタ設備使用料算定基準について

使用料の算定基準が適切でないため、工費及び諸掛費の算定が過少になっていたので、算定基準を改める要がある。

○住宅金融公庫

・土地担保中高層建築物貸付けの対象建物の無断用途変更の防止について

非住宅部分の併設を認めていない土地担保中高層建築物貸付けについて、借受者により貸付契約に違反して建物の一部が店舗等に用途変更されている事態がみられるので、貸付時の審査及び貸付後の管理について体制の整備を図る要がある。

2 会計検査院法第34条及び第36条の規定によるもの

1件

○厚生省

・国民健康保険助成費について

第三者行為によって生じた保険給付に係る損害賠償金等は、調定した年度の補助金等の対象額から控除すべきであるのにこれを行っていないため過大交付と同様の結果となっていたので、関係通達等を整備し経理の適正を期する要があり、また、法定給付割合を超える給付を行う一部の保険者に対し、法定給付割合を超えて支給した療養費の額をも対象として補助金を交付しており、医療保険の社会的公平の確保の見地からみて合理的でないと認められたので、所要の措置を講ずる要がある。

3 会計検査院法第36条の規定によるもの

4件

(ア) 意見を表示した事項

○労働省

・福祉施設の設置及び管理運営について

労働省からの出資により雇用促進事業団が設置・運営している福祉施設の利用が低調となっており、労働保険料を原資として被保険者等のために施設を設置・運営する本事業の意義が十分生かされていない。

○日本専売公社

・国内産葉たばこの在庫量について

国内産葉たばこの在庫量は標準在庫量を大幅に上回るものとなっており、この在庫量の中には品質の劣っているものが多量に含まれている。このような過剰在庫の事態は公社の資金を固定するばかりでなく多額の経費を負担することとなる。

○日本電信電話公社

・電報事業の運営について

電報事業の収支は毎年多額の損失を計上しているが、これは電報の利用内容が大きく変化しているにもかかわらず業務の運用の合理化、要員配置の適正化、郵政委託の在り方についての検討が十分行われてなかったことによるもので、このまま推移すると損失は累増の一途をたどることとなる。

(イ) 改善の処置を要求した事項

○農林水産省

・水田利用再編対策事業の実施及び効果について

農林水産省では、米の生産調整と農産物の総合的自給力の向上を主眼として、水稲から水稲以外の作物への転作の定着化を促進するため、水田利用再編対策事業を実施しているが、これが有効に機能しておらず事業の効果が十分発現していないと認められるので、抜本的な対策を講ずる要がある。

(本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項)

 本院が検査において指摘したところ、当局において改善の処置を講じた事項を「本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項」として、計14件を掲記した。

○農林水産省

・輸入小麦の買入れに当たっての国内港間の海上運送経費を政府の負担としていることについて

近年、阪神地区の輸入小麦の需給操作は、輸入港である大阪港及び神戸港の港頭サイロの収容力で十分対応できる状況となっているのに、これを考慮しないで大阪港から需要地の荷揚港までの海上運送経費を政府の負担としていたので、これを改善させた。

○通商産業省

・委託費により受託者が取得した物品の不適切な管理について

研究開発のための委託事業において取得した機械装置等の物品の管理が適切を欠いていたため、多数の物品が利活用されないままとなっていたので、これを改善させた。

○運輸省

・東京国際空港における土地使用料の算定方法について

土地使用料の算定が適切でないため、徴収額が低額となっていたので、算定方法を改善させた。

・防波堤築造工事における上部コンクリートの海上運搬費の積算について

積算基準が施工の実態に即していないため、防波堤築造工事における上部コンクリートの海上運搬費が過大となっていたので、これを改善させた。

・航空照明用の受配電機器等の設置工事における一般管理費等の積算について

積算基準において一般管理費の算出対象となる機器の範囲が明確でないため、航空照明用の受配電機器等の設置工事における一般管理費等が過大となっていたので、これを改善させた。

○日本国有鉄道

・踏切事故に係る損害賠償金債権の不適切な管理について

事務処理要領が整備されていなかったため、損害賠償金債権の管理が適切を欠き収納未済額が多額に上っていたので、これを改善させた。

・重軌条更換工事等に使用するレールの材質の使用区分について

軌道構造標準が実態と遊離したものとなっていて、レールの材質の使用区分の適用が適切を欠き工事費が不経済な事態を生じていたので、これを改善させた。

・軌道整備工事におけるバラストかき込み工費の積算について

積算要領が施工の実態に即していないため、バラストのかき込み工費が過大となっていたので、これを改善させた。 

○日本道路公団

・橋りょう工事におけるプレストレストコンクリート単純けたの設計方法について

設計要領が実態に即していないため、プレストレストコンクリート単純けたの設計費が過大となっていたので、これを改善させた。

・トンネル工事における火薬取扱労務費の積算について

積算要領が施工の実態に即していないため、トンネル工事における火薬取扱労務費が過大となっていたので、これを改善させた。

○首都高速道路公団

・コンクリート床版補強工事における増桁架設費の積算について

積算要領が施工の実態に即していないため、コンクリート床版補強工事における増桁架設費が過大となっていたので、これを改善させた。

○本州四国連絡橋公団

・自己昇降式作業足場で使用するディーゼルエンジン発電機の燃料費の積算について

積算要領が施工の実態に即していないため、自己昇降式作業足場で使用するディーゼルエンジン発電機の燃料費が過大となっていたので、これを改善させた。

○宇宙開発事業団

・種子島宇宙センターにおける自家用電力と購入電力の調整について

負荷設備に使用する電力について自家用電力と購入電力のコストを十分考慮することなく給電していたため、電力経費が不経済になっていたので、これを改善させた。

○帝都高速度交通営団

・地下鉄道施設を保守管理する工事の労務費の積算について

積算基準が施工の実態に即していないため、地下鉄道施設の保守管理労務費が過大となっていたので、これを改善させた。

(特に掲記を要すると認めた事項)

 以上の不当事項、意見を表示し又は処置を要求した事項及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項のほか、事業効果又は事業運営等の見地から問題を提起して事態の進展を図る要があると認めた事項を「特に掲記を要すると認めた事項」として、計4件を掲記した。

○建設省

・国が補助した土地区画整理事業の施行に伴って整備された宅地の利用の現状について

国の補助を受けて施行している土地区画整理事業の施行に伴って整備された宅地が、土地所有者の意向もあって住宅用等宅地として通常の利用に供されないで、農耕地となっていたり空地となっていたりしているものがあるので、宅地需給の状況等にかんがみ、宅地の利用についてなお種々の方策により一層の促進が図られることが望まれる。

○日本国有鉄道

・旅客営業の収支等について

国鉄の旅客部門の昭和57年度の損失は多額に上っており、当局もこれを打開すべく努めているものの、運賃改定による大幅な収入増を期待することにはおのずから限界があるなどの面がある一方、要員縮減のための施策の実施過程において所要員に対して現在員が大幅に上回るため業務効率の低下をきたすばかりか、人件費等の固定経費の削減効果に乏しいなどの事態となっている。
国鉄には社会的要因や組織上の問題など困難な事情はあるが、現在のまま推移すると、60年度に幹線の損益で収支均衡を図るという目標の達成すら困難になると認められる。

○日本鉄道建設公団

・成田新幹線の建設工事について

成田新幹線の建設工事として多額の建設費を投入し空港駅施設及び空港から土屋までの区間の鉄道施設はそのほとんどを完成したが、土屋・東京間は、地元住民の反対等で建設の目途が立たず、これに代わる各種の鉄道ルートも困難な問題が内在しており早期の決定が容易でない状況であるので、建設された施設の長期の遊休化は避けられない状況にある。

○日本原子力船研究開発事業団

・原子力船「むつ」の開発について

原子力船「むつ」は建造後10余年を経過した現在においてもいまだに実験航海等が実施できる状況になっておらず、昭和38年度以降多額の国費が投じられてきたにもかかわらず、開発に係る事業効果の発現が著しく遅延している。