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  • 昭和53年度|
  • 第1章 検査結果の概要

不当事項等の概要


第2節 不当事項等の概要

 検査の結果について、「不当事項」、「意見を表示し又は処置を要求した事項」、「本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項」及び「特に掲記を要すると認めた事項」の各事項に区分して、その概要を示すと次のとおりである。

(不当事項)

 検査の結果、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項を「不当事項」として、計164件を掲記した。これを態様別に説明すると、次のとおりである。

1 収入に関するもの(計6件14億4652万余円)

所管又は団体名 租税 保険 不正行為

法務省

 

 

1

1
大蔵省 1     1
厚生省   2   2
労働省   1   1
日本電信電話公社     1 1
1 3 2 6

 

(1)租税 1件 11億6854万余円

○大蔵省

・租税を徴収するに当たって、当局が課税資料の収集や活用を適確にしていなかったり、法令適用の検討が十分でなかったり、納税者から提出された申告書に記載されている所得金額や税額の計算が誤っていたのにこれを見過したりするなど調査が十分でなかったことによって、徴収額に過不足を生じたもの

(2)保険 3件 2億6553万余円

○厚生省

・健康保険、厚生年金保険及び船員保険の保険料を徴収するに当たって、保険料算定の基礎となる被保険者の報酬についての調査が十分でなかったため、徴収額に不足を生じたもの

○労働省

・労働保険の保険料を徴収するに当たって、事業主が提出する確定保険料申告書の内容についての調査が十分でなかったため、徴収額に不足を生じたもの

(3)不正行為 2件 1244万余円

○法務省

・刑務所の収入官吏の補助者が刑務作業契約に係る製作代金等を領得したもの

○日本電信電話公社

・電報電話局の出納員が街頭用公衆電話料金を領得したもの

2 支出に関するもの(計122件29億9104万余円)

所管又は団体名 予算経理 工事 物件 役務 保険 補助金 貸付金 不正行為 その他

国会
(国立国会図書館)

 

 

1

 

 

 

 

 

 

1
総理府
(総理府本府)
    1             1
(北海道開発庁)     1             1
(防衛庁) 1   2             3
(環境庁) 1         1       2

(国土庁)

    1             1
文部省     2     4       6
厚生省           5   3   8
農林水産省   2       35       37
通商産業省 2   1     4       7
運輸省     1 1           2
郵政省     1             1
労働省         2         2
建設省   1       14       15
日本専売公社     1             1
日本国有鉄道 1 1   1         1 4
日本電信電話公社   1 1         1   3
水資源開発公団   2               2
本州四国連絡橋公団   1 1             2
日本鉄道建設公団 1 1               2
雇用促進事業団       1           1
簡易保険郵便年金福祉事業団   1               1
中小企業振興事業団             3     3
宇宙開発事業団     1             1
年金福祉事業団             9     9
電源開発株式会社   1               1
商工組合中央金庫             1     1
日本私学振興財団           4       4
6 11 15 3 2 67 13 4 1 122

 

(1)予算経理  6件 3億2201万余円
<架空の名目による旅費等を別途に経理していたものなど> 6件 3億2201万余円

○総理府(防衛庁)

・架空の名目により旅費等の支払いを受けるなどし、これを別途に経理して、会食等の経費に使用していたもの

○総理府(環境庁)

・架空の名目により旅費の支出を受け、これを別途に経理して、職員の夜食代、会食等の経費に使用したとしていたもの

○通商産業省

・架空の名目により旅費等を支払うなどし、これを別途に経理して、会食等の経費に使用していたもの

○日本国有鉄道

・架空の名目により旅費を支出し、これを別途に経理して、会食等の経費に使用していたもの

○日本鉄道建設公団

・架空の名目により旅費を支出し、これを職員に支給したり、別途に経理して会食等の経費に使用したりしていたもの

(2)工事 11件  12億7598万余円
<事前の調査、計画等が適切でなかったものなど> 3件 8836万余円

○農林水産省

・自動除じん施設の設置に当たり、事前の調査等が十分でなかったため、不経済になったもの

○電源開発株式会社

・不必要な仮囲い工事を施行したため不経済になったもの

<工事の設計が適切でなかったもの> 1件  1490万余円

○日本電信電話公社

・マイクロ無線鉄塔新設工事の施行に当たり、鉄塔の設計が適切でなかったため、不経済になったもの

<予定価格の積算が適切でなかったもの> 4件 5億4400万余円

○日本国有鉄道

・スラブ軌道工事の施行に当たり、レール敷設工事費の積算を誤ったなどのため、契約額が割高になったもの

○水資源開発公団

・幹線水路工の施行に当たり、水路の管理橋に設置する鋼管製手すりの工事費の積算を誤ったため、契約額が割高になったもの

○本州四国連絡橋公団

・高架橋の橋脚基礎工事の施行に当たり、潜函(かん)工の掘削費の積算を誤ったため、契約額が割高になったもの

○日本鉄道建設公団

・高架橋新設工事の施行に当たり、現場打ち鉄筋コンクリートぐいの工事費の積算が適切でなかったため、契約額が割高になったもの

<契約処置が適切でなかったもの> 1件 1065万円

○簡易保険郵便年金福祉事業団

・客席椅子設置工事の契約に当たり、最低制限価格制度を適用して最低入札者を排除したため、割高な契約となったもの

<監督、検査が適切でなかったもの> 1件 447万余円

○建設省

・道路の災害防止工事の施行に当たり、ポケット式ロックネットを設計と相違して施工したもの

<工事費の支払が適切でなかったもの> 1件 6億1360万円

○水資源開発公団

・工事着工時期の見通しのないまま多額の前払金を支払ったもの

(3)物件 15件 1億9310万余円
<物品の購入計画等が適切でなかったもの> 2件  2940万余円

○日本電信電話公社

・電話料金等請求書用紙の購入に当たり、紙質、印刷仕様に対する配慮が適切でなかったため、不経済になったもの

○宇宙開発事業団

・電子計算機の賃貸借契約の更新に当たり、保有機器の利活用を図らなかったため、不経済になったもの

<予定価格の積算が適切でなかったもの> 1件 250万余円

○総理府(防衛庁)

・ジェットエンジン・テストスタンドの調達に当たり、部品の数量を誤って予定価格を過大に積算したため、契約額が割高になったもの

<契約処置が適切でなかったもの> 12件 1億6120万余円

○国会(国立国会図書館)、総理府(総理府本府、北海道開発庁、防衛庁、国土庁)、文部省、通商産業省、運輸省、郵政省、日本専売公社、本州四国連絡橋公団

・上記各機関において、マット等の購入価額が著しく高価となっているもの

(4)役務  3件 4940万余円
<予定価格の積算が適切でなかったもの> 1件 740万余円

○運輸省

・天気図等の印刷版下作成の請負契約に当たり、作業時間のは握が適切でなかったため、不経済になったもの

<契約処置が適切でなかったもの> 2件 4200万余円

○日本国有鉄道

・契約電力が電力の使用実績に比べ著しく過大となっているのに、契約電力変更の処置を執らなかったため、電気料金が不経済に支払われていたもの

○雇用促進事業団

・契約電力が電力の使用実績に比べ著しく過大となっているのに、契約電力変更の処置を執らなかったため、電気料金が不経済に支払われていたもの

(5)保険 2件 1億4137万余円

○労働省

・雇用保険の失業給付金及び雇用調整給付金の支給に当たって、支給の原因となる事実についての調査が十分でなかったため、支給が適正に行われていなかったもの

(6)補助金 67件 4億4038万余円

○総理府(環境庁)

・園地の護岸工事等において、工事の施工が設計と相違していたもの

○文部省

・公立文教施設整備事業等において、補助の対象とは認められないものを補助事業に含めていたもの、契約処置が適正を欠いていたものなど

○厚生省

・保育所措置費補助金に係る補助対象事業費の精算が過大となっていたもの

○農林水産省

・ほ場、農道及び農業用施設の整備、農用地及び農業用施設の災害の防止、農用地の開発、林道の開設、災害復旧等の公共事業において、工事の設計又は工事費の積算が適切でなかったもの、工事の施工が設計と相違していたもの及び事業費の精算が過大となっていたもの

・農地保有合理化促進事業等において、補助の対象とは認められないものを補助事業に含めていたもの、事業費の精算が過大となっていたものなど

○通商産業省

・中小企業設備近代化資金の貸付けが適切でなく、補助の目的に沿わない結果になっていたもの

○建設省

・下水道施設、都市公園、道路等の新設、改良、災害復旧等の公共事業において、工事の設計又は工事費の積算が適切でなかったもの、工事の施工が設計と相違していたもの及び国庫補助金を不正に受給していたもの

○日本私学振興財団

・私立大学等経常費補助金の交付に当たり、経常的収入となる寄附金を考慮しなかったりなどして補助金額を算定していたもの

(7)貸付金  13件 5億4952万余円

○中小企業振興事業団

・繊維工業の中小企業団体に対する設備共同廃棄事業資金の貸付けが、貸付けの目的に沿わない結果となっていたもの

○年金福祉事業団

・厚生年金保険の適用事業所の事業主等に対する福祉施設設置整備資金の貸付けが、指導監督が適切でなく、調査確認が十分でなかったため、貸付けの条件に沿わない結果となっていたもの

○商工組合中央金庫

・中小企業等協同組合に対する事業資金の貸付けに当たり、担保の調査及び評価が適切でなかったため、貸付金が回収不能となっていたもの

(8)不正行為 4件 487万余円

○厚生省

・病院の支出負担行為担当官及び支出官の補助者が、医療用消耗品の購入を装い国庫金を領得したもの

○日本電信電話公社

・電話番号案内局の出納員の補助者が、賃金支給書を偽造するなどして資金を領得したもの

(9)その他 1件  1439万円

○日本国有鉄道

・トンネル工事に伴う水田の減渇水対策費の支払が適切でなかったもの

3 収入、支出以外のもの(36件1億1938万余円)

所管名 不正行為

郵政省

36

 

不正行為 36件 1億1938万余円

○郵政省

・郵便局の出納官吏又は出納員が、郵便貯金の預入金等を領得したもの

(意見を表示し又は処置を要求した事項)

 会計検査院法第34条の規定により、昭和54年中に関係大臣等に対して処置を要求した事項を「意見を表示し又は処置を要求した事項」として、計14件を掲記した。

○大蔵省

・練肉機に使用している冷却用水の循環使用に関するもの

○農林水産省

・農業構造改善事業等により設置した農機具格納庫の規模に関するもの

・農用地の地目別集団化を伴う土地改良事業の実施地区における水田利用再編奨励補助金の交付に関するもの

○建設省

・トンネル用照明器具の仕様及び積算に関するもの

○日本専売公社

・建物等の取壊し工事費の積算に関するもの

・葉たばこ倉庫の管理運営に関するもの

○日本電信電話公社

・青電話機のキャビネット業務の委託取扱費の積算に関するもの

○医療金融公庫

・業務委託手数料の算定に関するもの

○日本住宅公団

・現場従務旅費の支給に関するもの

・有料駐車場敷地等の貸付けに関するもの

○日本道路公団

・高速道路新設工事における軟弱地盤処理工費の積算に関するもの

○日本鉄道建設公団

・特別手当等の支給に関するもの

○中小企業共済事業団

・小規模企業共済事業に係る事務処理の委託に関するもの

○公害防止事業団

・中小企業者に対する公害防止施設の譲渡に係る債権の保全措置に関するもの

(本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項)

 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項として、計15件を掲記した。

○農林水産省

・飼料用外国産大麦の政府備蓄に関するもの

・徳用上米用原料米穀の売渡価格に関するもの

○運輸省

・港湾改修等工事におけるセルラーブロック等の型わく費の積算に関するもの

・空港施設における電力ケーブル等の保護用管路の設計に関するもの

○建設省

・特定多目的ダム等建設工事の予定価格の積算に関するもの

・場所打ちコンクリートU型側溝(こう)のふたの価格の積算に関するもの

○日本国有鉄道

・東北新幹線における通信・信号用ケーブルの敷設工法に関するもの

・手小荷物等の自動車輸送業務の委託等に関するもの

・客貨車用12t長輪軸の利活用に関するもの

○日本道路公団

・舗装工事におけるアスファルトプラント運転経費の積算に関するもの

○日本鉄道建設公団

・上越新幹線におけるトンネル内照明等設備の設計及び通信用ケーブルの材料費の積算等に関するもの

○地域振興整備公団

・土地造成工事における掘削運土費の積算に関するもの

○日本蚕糸事業団

・生糸の保管料に関するもの

○日本中央競馬会

・建築工事等における配管、配線工事費の積算に関するもの

○帝都高速度交通営団

・下水道料金の支払に関するもの

(特に掲記を要すると認めた事項)

 以上の不当事項、意見を表示し又は処置を要求した事項、及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項のほか、事業運営の見地から問題を提起して事態の進展を図るため、「特に掲記を要すると認めた事項」として、1件を掲記した。

○郵政省

・逓信病院の運営に関するもの