検査の結果、第3章及び第4章に掲記した事項等には、次のものがある。
ア 第3章の「個別の検査結果」に掲記した事項
(ア)「不当事項」(検査の結果、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項)
(イ)「意見を表示し又は処置を要求した事項」(会計検査院法第34条
又は第36条(注)
の規定により関係大臣等に対して意見を表示し又は処置を要求した事項)
(ウ)「本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項」(本院が検査において指摘したところ当局において改善の処置を講じた事項)
(エ)「特に掲記を要すると認めた事項」(検査の結果、特に検査報告に掲記して問題を提起することが必要であると認めた事項)
イ 第4章の「特定検査対象に関する検査状況」(本院の検査業務のうち、検査報告に掲記する必要があると認めた特定の検査対象に関する検査の状況)
これらの事項等の件数、金額は、次表のとおりである。
事項等 | 件数 |
指摘金額 〔背景金額〕 |
||
不当事項 | 272件 | 188億2912万円 | ||
意見を表示し又は処置を要求した事項 | 第34条
2件
|
43億5372万円 | ||
|
29億5550万円 〔10億1368万円〕 |
|||
第36条
2件
|
487億2671万円
1562億円 |
|||
本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項 | (注2)
38件 |
<32件分>
138億7401万円17億1246万円
52億6000万円 3億5614万円 10億4067万円 24億8473万円 343億円 30億4574万円 |
||
特に掲記を要すると認めた事項 | 4件 | 1596億円
646億円 8972億円 1509億円 |
||
事項計 | 319件 | <307件分>
400億1235万円 |
||
特定検査対象に関する検査状況 | 18件 | — | ||
総計 | 337件 | <307件分>
400億1235万円 |
(注1) | 指摘金額・背景金額 指摘金額とは、租税や社会保険料等の徴収不足額、工事や物品調達等に係る過大な支出額、補助金の過大交付額、計算書や財務諸表等に適切に表示されていなかった資産等の額などである。 背景金額とは、会計経理に関し不適切、不合理な事態が生じている原因が「法令」、「制度」あるいは「行政」にあるような場合や、政策上の問題等から事業が進ちょくせず投資効果が発現していない事態について問題を提起する場合などの、その事態に関する支出額や投資額等である。このような事態における支出等の額は、直ちに不適切な会計経理の額とは言い切れないため、「背景金額」として「指摘金額」と区別している。なお、背景金額は個別の事案ごとにその捉え方が異なるため、金額の合計はしていない。 |
(注2) | 「意見を表示し又は処置を要求した事項」及び「本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項」には、指摘金額と背景金額の両方あるものがそれぞれ1件ある。 |
第3章の「個別の検査結果」に掲記した各事項のうち、特に掲記を要すると認めた事項を除く不当事項等について、省庁等別にその件数、金額を示すと次表のとおりである。
事項
\
省庁又は団体名 |
不当事項 | 意見を表示し又は処置を要求した事項 | 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項 | 計 | |||||||
裁判所 | 件 | 件 | 件 1 |
1394万円 | 件 1 |
1394万円 | |||||
内閣府
|
1 | 1億5544万円 | 1 | 1億5544万円 | |||||||
同(防衛庁) | 2 | 3331万円 | 1 | 2720万円 | 3 | 6051万円 | |||||
総務省 | 40 | 12億9873万円 | 3 | 4億7490万円 (17億1246万円) |
43 | 17億7363万円 (17億1246万円) |
|||||
法務省 | 2 | 3388万円 | 2 | 3388万円 | |||||||
外務省 | 3 | 3148万円 | 3 | 3148万円 | |||||||
財務省 | 4 | 13億1842万円 | 1 | (52億6000万円) | 5 | 13億1842万円 (52億6000万円) |
|||||
文部科学省 | 1 | 67億5317万円 | 3 | 8億0155万円 (3億5614万円) |
4 | 75億5472万円 (3億5614万円) |
|||||
厚生労働省 | 173 | 87億2616万円 | 〔34〕1 | 34億6210万円 | 1 | 3932万円 | 175 | 122億2758万円 | |||
農林水産省 | 13 | 2億0853万円 | (注3)
〔34・36〕1 〔36〕1 |
29億5550万円 (10億1368万円) (487億2671万円) |
(注3)
5 |
69億8590万円 (10億4067万円) (24億8473万円) |
20 | 101億4993万円 (10億1368万円) (487億2671万円) (10億4067万円) (24億8473万円) |
|||
経済産業省 | 10 | 8702万円 | 10 | 8702万円 | |||||||
国土交通省 | 14 | 1億9347万円 | 2 | 4億7074万円 (343億円) |
16 | 6億6421万円 (343億円) |
|||||
環境省 | 4 | 1165万円 | 2 | 12億5909万円 | 6 | 12億7074万円 | |||||
国民生活金融公庫 | 1 | 1038万円 | 1 | 1038万円 | |||||||
日本道路公団 | 1 | 14億7148万円 | 1 | 14億7148万円 | |||||||
首都高速道路公団 | 1 | 5880万円 | 1 | 5880万円 | |||||||
阪神高速道路公団 | 1 | 2990万円 | 1 | 2990万円 | |||||||
新東京国際空港公団 | 1 | (30億4574万円) | 1 | (30億4574万円) | |||||||
本州四国連絡橋公団 | 1 | 6869万円 | 1 | 6869万円 | |||||||
日本鉄道建設公団 | 1 | 3880万円 | 1 | 3880万円 | |||||||
農畜産業振興事業団 | 2 | 4021万円 | 2 | 12億4591万円 | 4 | 12億8612万円 | |||||
日本育英会 | 〔36〕1 | (1562億円) | 1 | (1562億円) | |||||||
日本原子力研究所 | 1 | 3390万円 | 1 | 3390万円 | |||||||
理化学研究所 | 〔34〕1 | 8億9162万円 | 1 | 8億9162万円 | |||||||
自動車事故対策センター | 1 | 169万円 | 1 | 169万円 | |||||||
新エネルギー・産業技術総合開発機構 | 2 | 5705万円 | 2 | 5705万円 | |||||||
日本学術振興会 | 1 | 1億7577万円 | 1 | 1億7577万円 | |||||||
雇用・能力開発機構 | 1 | 5126万円 | 1 | 5126万円 | |||||||
独立行政法人農業技術研究機構 | 1 | 652万円 | 1 | 5310万円 | 2 | 5962万円 | |||||
東日本電信電話株式会社 | 3 | 2億1450万円 | 3 | 2億1450万円 | |||||||
西日本電信電話株式会社 | 2 | 2億2120万円 | 2 | 2億2120万円 | |||||||
合計 | 272 | 188億2912万円 | 5 | 73億0922万円 | 38 | 138億7401万円 | 315 | 400億1235万円 |
(注1) | 「意見を表示し又は処置を要求した事項」の件数欄の〔34〕は会計検査院法第34条によるもの、〔36〕は会計検査院法第36条によるもの、〔34・36〕は会計検査院法第34条及び第36条によるものを示している。 |
(注2) | ( )内の金額は背景金額であり、個別の事案ごとにその捉え方が異なるため金額の合計はしていない。 |
(注3) | 「意見を表示し又は処置を要求した事項」及び「本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項」には、指摘金額と背景金額の両方あるものがそれぞれ1件ある。 |
また、特に掲記を要すると認めた事項は、4件(背景金額1596億円、646億円、8972億円、1509億円)である。
以上の各事項計319件について、その概要を示すと次のとおりである。
検査の結果、「不当事項」として計272件掲記した。これを収入、支出等の別に分類し、態様別に説明すると、次のとおりである。
省庁又は団体名 | 租税 | 保険料 | 不正行為 | 計 |
財務省 | 件 3 |
件 | 件 1 |
件 4 |
厚生労働省 | 2 | 2 | ||
自動車事故対策センター | 1 | 1 | ||
計 | 3 | 2 | 2 | 7 |
(1)租税 | 3件 | 13億1544万余円 |
○財務省
・地方税の滞納に基づく債権差押えをされていた還付金等を法人に支払ったため、差押債権者である地方公共団体に更に還付金を支払うこととなるなどして損害が生じたもの(1件 4466万余円)
(2)保険料 | 2件 | 49億1391万余円 |
○厚生労働省
(3)不正行為 | 2件 | 467万余円 |
○財務省
・税務署の職員が、国税の収納事務に従事中、滞納者から受領した現金を領得したもの(1件 297万余円)
○自動車事故対策センター
・支所の職員が、現金等の出納保管事務に従事中、適性診断手数料等の収入金を出納役名義の金融機関口座から引き出すなどして領得したもの(1件 169万余円)
省庁又は団体名 | 予算経理 | 役務 | 保険給付 | 医療費 | 補助金 | 不正行為 | その他 | 計 |
内閣府(防衛庁) | 件 | 件 | 件 | 件 | 件 | 件 | 件 1 |
件 1 |
総務省 | 3 | 3 | ||||||
外務省 | 2 | 1 | 3 | |||||
文部科学省 | 1 | 1 | ||||||
厚生労働省 | 2 | 3 | 2 | 162 | 1 | 1 | 171 | |
農林水産省 | 13 | 13 | ||||||
経済産業省 | 1 | 9 | 10 | |||||
国土交通省 | 14 | 14 | ||||||
環境省 | 4 | 4 | ||||||
農畜産業振興事業団 | 2 | 2 | ||||||
新エネルギー・産業技術総合開発機構 | 1 | 1 | 2 | |||||
雇用・能力開発機構 | 1 | 1 | ||||||
独立行政法人農業技術研究機構 | 1 | 1 | ||||||
計 | 6 | 2 | 3 | 2 | 209 | 1 | 3 | 226 |
(1)予算経理 | 6件 | 69億0680万余円 |
○外務省
○文部科学省
○厚生労働省
・国立療養所において、実際は常勤の職員として雇用していない医師について常時勤務していたとする虚偽の勤務実績によって給与等を支出していて、会計経理が適正を欠いているもの(2件 1億1817万余円)
○独立行政法人農業技術研究機構
(2)役務 | 2件 | 9588万余円 |
○経済産業省
○新エネルギー産業技術総合開発機構
(3)保険給付 | 3件 | 4億7332万余円 |
○厚生労働省
(4)医療費 | 2件 | 15億4457万余円 |
○厚生労働省
(5)補助金 | 209件 | 20億6938万余円 |
○外務省
・国際開発協力関係民間公益団体補助金の交付の対象となっていた開発途上国における砂漠化防止のための植林事業を実施していないもの(1件 253万余円)
○厚生労働省
・医療施設等施設整備費補助金の経理において、補助の対象とならない既存校舎に係る電気設備費や改修費等を補助対象経費に含めていたため、補助対象事業費が過大に精算されているもの(1件 997万余円)
・社会福祉施設等施設整備費補助金の算定において、補助の対象となった特別養護老人ホームとは別の施設の工事費を補助対象経費に含めるなどしていたため、補助金が過大に交付されているもの(3件 1519万円)
・生活保護費負担金の算定において、保護を受ける世帯における就労収入等の額を過小に認定するなどして保護費の額を決定していたため、負担金が過大に交付されているもの(12件 6404万余円)
・水道施設整備費補助金の経理において、消費税の申告により補助金に係る消費税仕入控除税額が確定した場合、その金額を返還しなければならないのに返還していないもの(6件 6589万余円)
・技能向上対策費補助金の経理において、消費税の申告により補助金に係る消費税仕入控除税額が確定した場合、その金額を返還しなければならないのに返還していないもの(1件 876万余円)
○農林水産省
○経済産業省
○国土交通省
・公営住宅家賃対策補助金の経理において、補助基本額の減額要素となる入居者負担基準額を過小に算定していたため、補助金が過大に交付されているもの(1件 494万余円)
○環境省
・環境保全施設整備費補助金の経理において、消費税の申告等により補助金に係る消費税仕入控除税額が確定した場合、その金額を返還しなければならないのに返還していないもの(2件 233万余円)
・廃棄物処理施設整備費国庫補助金の交付額の算定において、誤って、過年度の交付要綱で定められていた事務費率を適用して事務費を算出したため、補助金が過大に交付されているもの(2件 932万余円)
○農畜産業振興事業団
・牛肉価格安定緊急対策事業の実施に当たり、補助金額の算定の基礎となる牛肉の買入価額に金額を上乗せするなどしていたため、補助金が過大に交付されているもの(1件 3624万余円)
○新エネルギー・産業技術総合開発機構
(6)不正行為 | 1件 | 6096万余円 |
○厚生労働省
(7)その他 | 3件 | 1億1889万余円 |
○内閣府(防衛庁)
・飛行場周辺こ所在する建物等に係る移転補償に当たり、訓令に定める賃借人との契約手続を行わず、賃借人に係る移転補償金を建物所有者に支払っていて、適正を欠いているもの(1件 830万余円)
○厚生労働省
○雇用・能力開発機構
省庁又は団体名 | 不正行為 |
内閣府(防衛庁) | 件 1 |
総務省 | 37 |
国民生活金融公庫 | 1 |
計 | 39 |
不正行為 | 39件 | 13億2525万余円 |
○内閣府(防衛庁)
・自衛隊病院の職員が医薬品等の出納保管事務に従事中、倉庫に保管中の医薬品を領得したもの(1件 2501万余円)
○総務省
・郵便局の出納官吏等が、預金者から受領した定額郵便貯金預入金、預金者から預かった貯金証書を使用して交付を受けた定額郵便貯金払戻金、出納官吏の保管に係る資金等を領得したもの(37件 12億8985万余円)
○国民生活金融公庫
・支店の職員が、債権管理事務等に従事中、実際に必要とする数量以上の登記印紙の払出しを受けるなどして登記印紙を領得したもの(1件 1038万余円)
「意見を表示し又は処置を要求した事項」として計5件掲記した。
○厚生労働省
医師又は看護職員の員数が標準人員数の8割以下である医療機関が行った基本診療料等の新規又は上位の算定項目への変更の届出は、地方社会保険事務局等において受理しないこととされている。しかし、この届出受理の取扱いについて定めた通知が、入院基本料の減額を定めた通知と混同されやすいものとなっていたことなどから、地方社会保険事務局等では、新規又は変更の届出をそのまま受理するなどしていて、誤った基本診療料等が算定されている事態が見受けられた。したがって、厚生労働省において、通知における届出の取扱いの記述を明確にすること、届出に際し医師等の員数及び標準人員数を確認できるようにすることなどの処置を講ずる要がある。
○理化学研究所
研究等の用に供するために所有する物品について、備えることとなっている物品管理簿等の帳簿が備えられていなかったり、固定資産台帳に管理箇所として廃止された研究室等が記載されているなど帳簿の記載が適切でなかったり、撤去申請書の申請年月日を書き換えるなど処分の事務手続が適切でなかったりなどしていて、適切な管理が行われていない事態が見受けられた。したがって、独立行政法人理化学研究所において、物品管理の実態を正確に把握するとともに、物品管理の適正を期するため、物品管理に携わる者に物品管理に対する認識を徹底させ、必要な帳簿を整備して正確に記帳することにより物品の現況を十分把握して適正かつ効率的な管理を図ることができるようマニュアル等を作成し、併せて事務処理体制の整備を図る要がある。
イ 会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求し及び同法第36条の規定により改善の処置を要求した事項
○農林水産省
林野庁では、一般国道の道路敷として使用承認している国有林野については、恒久的に国土交通省の行政目的である道路の用に供されることが見込まれることから、同省の行政財産として管理が行われるよう国有財産法等の規定により有償で所管換をするなどとしている。しかし、有償による所管換がされておらず無償のまま使用承認が継続されているなど、国有財産法等の規定に基づいた適正な国有林野の管理が行われていなかったり、国有林野事業特別会計の独立性に影響を及ぼしていたりする事態が見受けられた。林野庁では、本院の指摘を受けて、国有林野の財産価額が政令で定める金額に達しない路線の取扱いに関し同省との協議が未了となっているものを含めてすべて早期に有償により所管換をすることとしている。したがって、同庁において、国土交通省との合意に基づき早期に体制を整備するとともに道路管理者と引き続き協議し、年次計画を策定するなどして有償による所管換の推進及び無償による使用承認の早期解消を図る要がある。
(指摘金額 29億5550万円) | |
背景金額 | 10億1368万円 |
有償による所管換がされていない国有林野の財産価額(国有林野の財産価額が政令で定める金額に達しない路線に係る分) |
○農林水産省
生鮮食料品等の卸売市場施設整備事業の実施に当たり、中央及び地方の卸売市場等の目標年度における取扱量が過大に見積もられていて、必要規模を上回る施設等が整備されていたり、中央卸売市場の目標取扱量が適正な配置を考える上での基準を満たしておらず、施設が適切な配置となっていなかったりしている事態が見受けられた。したがって、農林水産省において、施設の必要規模の算定基準等を見直すとともに、中央卸売市場の統合等の推進について検討するよう制度を改善し、今後実施される事業の効率的、効果的な実施を図る要がある。
背景金額 | 487億2671万円 |
平成12年度を目標年度として整備した施設に対する国庫補助金交付額 |
○日本育英会
・育英奨学事業における延滞債権の評価及び回収施策の策定について
日本育英会の業務が平成16年4月に独立行政法人日本学生支援機構に承継されることを踏まえて、増加を続ける延滞債権の回収見通しや回収施策等について検査した。その結果、現行の貸倒引当金、資本金等の金額を上回る数百億円規模の回収不能額の発生が見込まれ、また、要返還者、連帯保証人等の収入等の把握体制が十分でなかったり、連帯保証人制度が有効に機能していなかったりなどしている事態が見受けられた。したがって、育英会において、貸倒引当金の積増しと貸倒損失計上の適切な基準を設定し、それに伴って生じる欠損金について具体的な処理計画を検討するとともに、回収業務の在り方などを検討して機構に引き継ぐ要がある。
背景金額 | 1562億円 |
(平成13年度末延滞債権額) |
「本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項」として計38件掲記した。
○裁判所
電話等の利用に係る契約に当たり、通話料に関する各種の割引制度の適用を受けることができたのに、割引制度についての検討が十分でなかったため、電話等の利用の実態にあった割引制度の適用を受けておらず、通話料が不経済となっていた。
(指摘金額 1394万円)
○内閣府(内閣府本府)
建物の模様替や工作物の設置などに要した費用を国有財産台帳の登録価格に計上するに当たり、計上する費用の範囲を具体的に明示していなかったことなどのため、費用の一部が計上漏れとなり、その結果、国有財産増減及び現在額報告書等において、投下した費用が国有財産の価格に適切に反映されていなかった。
(指摘金額 1億5544万円)
○内閣府(防衛庁)
計算工数データの入力等に当たり、データ入力用のソフトウェアを使用して既存のパソコンで行うことができたのに、使用部局に対して既存のパソコンで同ソフトウェアの使用が可能である旨の説明が十分でなかったなどのため、入出力装置として別途パソコンを借り上げていて、その使用料が不経済となっていた。
(指摘金額 2720万円)
○総務省
・消防防災等施設整備費補助事業で整備する防火水槽に係る補助金の基準額の算定について
防火水槽に係る補助金額算定の基礎となる基準額の算定に当たり、その算定方法を示す告示等に定める諸経費等の率には上限が設けられているが、その諸経費等と市町村が防火水槽整備工事の工事費の積算に通常使用する土木工事の積算基準に定められている現場管理費及び一般管理費との対応関係を具体的に明示していなかったため、諸経費等の率の上限により算出した額を上回る諸経費等が基準額に算入されていて、国庫補助金が過大に交付されていた。
(指摘金額 1億5490万円)
普通交付税の交付額の算定基礎となる基準財政需要額のうち小・中学校費に係る額の算定において、学校基本調査による学校数をそのまま測定単位として用いていたため、児童・生徒が在籍していない0学級校が学校数に含まれており、廃校により学校数に含まれなくなる場合との均衡を失し、市町村間の公平を欠くことになっていた。
背景金額 | 17億1246万円 |
0学級校を学校数に含めないこととして算定した場合の開差額 |
郵便切手類販売所等に対する月額の委託販売手数料の支払に当たり、経済性の検討が十分でなかったことなどのため、郵便切手等の購入額が極めて僅少な月についても定額を支払うこととしていて、委託販売手数料が適切なものとなっていなかった。
(指摘金額 3億2000万円)
○法務省
・通信ネットワーク等の通信回線に係る通信料の割引制度の適用について
通信ネットワーク等に使用する通信回線の使用契約に当たり、法務省のグループに追加登録することなどにより割引制度の適用を受けることができたのに、割引制度やその手続等を十分に理解していなかったなどのため、割引制度の適用を受けておらず、通信料が不経済となっていた。
(指摘金額 1048万円)
・登記情報システム用の空気調和機に係る点検保守費の積算について
登記情報システムのホストコンピュータ専用の空気調和機に係る点検保守費の積算に当たり、点検保守業務の作業の実態及び内容を十分把握していなかったなどのため、技術者の年間所要人日数や技術者の区分が実態を反映したものとなっていないなどしていて、点検保守費の積算額が過大となっていた。
(指摘金額 2340万円)
○財務省
国の補助金等により造成した信用保証基金をもって清酒製造業者等の金融機関からの借入れに対して債務保証を行う保証事業において、業務方法書、会計規約等を遵守する認識が十分でなかったことなどのため、代位弁済違約金及び延滞保証料を債権として管理していなかったり、被保証者における保証債務の償還状況の把握が十分でなかったりしていた。
背景金額 | 52億6000万円 |
昭和45年度から平成6年度までに信用保証基金を造成するために交付した国庫補助金の額 |
○文部科学省
・社会参加促進費補助金により整備されたパソコンの管理及び活用について
総務省の情報通信技術講習推進特例交付金事業(IT基礎技能講習事業)と連携協力してIT学習環境を整備するために、社会参加促進費補助金により社会教育施設等に整備されたパソコンについて、IT基礎技能講習事業の終了後も社会教育のために有効活用することの認識が十分でなかったなどのため、管理が適切でなかったり、社会教育に活用されていなかったりしていて、補助事業の目的が十分に達成されていなかった。
(指摘金額 7億2740万円)
公立の中学校における初任者研修の実施に当たり、初任者研修を円滑かつ効果的に実施するために義務教育費国庫負担金等による教員の加配等が行われているという制度の趣旨に対する認識が不足していたため、初任者の免許教科と異なる免許教科の教員を教科指導員に任命していたり、初任者が研修に専念できる体制を採っていなかったりなどしていた。
背景金額 | 3億5614万円 |
初任者研修を円滑かつ効果的に実施する体制が十分に整えられていないと認められる中学校における教員の加配等に係る国庫負担金等相当額 |
・科学研究費補助事業における資格要件等に係る手続の履行について
科学研究費補助事業の実施に当たり、研究代表者が研究機関から異動することにより資格要件を満たさなくなったり、外国留学等で長期間所属研究機関を離れたりしているのに、補助金の交付内定の辞退等の所要の手続が執られておらず、補助事業が適正なものとなっていなかった。
(指摘金額 7415万円)
○厚生労働省
調剤報酬における調剤基本料の区分に関する取扱いについての周知及び指導が十分でなかったなどのため、薬局において処方せんの受付回数等の実績に基づいた区分の基本点数によることなく調剤基本料の請求を行っていて、医療費が過大に支払われていた。
(指摘金額 3932万円)
○農林水産省
・農業構造改善事業等により設置した農畜産物処理加工施設等について
農業構造改善事業等により設置した農畜産物処理加工施設等において、高品質で付加価値の高い農畜産物の産地形成を図るなどの事業の目的に対する理解が十分でなかったなどのため、地域の農畜産物が十分活用されていなかったり、利用実績が計画目標を大幅に下回っていたり、収支が大幅な赤字になっていたりしていて、補助事業の効果が十分発現していなかった。
(指摘金額 44億3584万円)
牛海綿状脳症(BSE)の検査を受けていない牛肉を焼却処分する事業の実施に当たり、事業対象牛肉の品種・性別の実態と助成単価の算定との整合性について十分検討しないまま一律の単価で助成することとし、また、全箱検品の現品調査表等により品種・性別の確認ないし判定を行うことができるのにその検討が十分でなかったなどのため、助成金が過大に交付されることとなっていた。
(指摘金額 20億0670万円)
南太平洋諸国の200海里水域に入漁する漁業者を対象に、入漁料の支払資金の借入れに係る利子補給及び融資を行うために国庫補助金等により造成された基金において、事業を取り巻く環境が大きく変化し、漁業者のニーズが減少し又はなくなっているのに、事業の必要性の検討や事業内容の見直しを行ってこなかったことなどのため、事業実績が著しく低調又は皆無となって、多額の資金が滞留していて、国の財政資金がその効果を上げていなかった。
(指摘金額 4億9666万円) | |
背景金額 | 10億4067万円 |
有効活用を図るよう改善させた基金の国庫補助金相当額 |
遊漁船等を漁船と分離収容する施設の整備を行う漁港利用調整事業の実施に当たり、国庫補助事業と連携して行われる都道府県等の単独事業による施設整備の遅れや、事前の調査等が十分でなかったことなどにより、事業基本計画に沿った施設の利用がされておらず、事業の効果が十分発現していなかった。
背景金額 | 24億8473万円 |
事業効果が十分発現していないと認められた6漁港に対する国庫補助金交付額 |
政府米の輸出業務の実施に当たり、輸出米穀を保管倉庫から精米工場又は輸出港所在の倉庫まで運送した際に委託により行っている入庫検定について、その品質等の検定項目が、精米工場で食糧庁が行う生産精米の検収及び輸出港で国際検査機関が行う検定の実施項目にすべて含まれていて、入庫検定を省路しても支障がないのに、これを行っていて不経済となっていた。
(指摘金額 4670万円)
○国土交通省
整備事業者への貸付けに係る債務保証及び利子補給のために国庫補助金の交付を受けて造成している自動車整備近代化資金において、貸付要件である指定整備事業者との業務提携による発注実績が不明であったり、貸付後において事業計画が達成されていなかったりしていて、指定整備事業者が国に代わって自動車の検査を行う割合を維持・向上させるという事業目的のために資金が有効に活用されていなかった。
(指摘金額 4億7074万円)
国が設置した空港内駐車場の運営において、駐車場の営業を行わせている事業者が相当の利益を稼得しているが、国土交通省は駐車料金の審査・承認に当たり、事業収支の見積りや実績を活用又は把握しておらず料金水準の妥当性の検証が十分でなかったり、運営事業者を複数の事業者から選定する仕組みを導入しておらず透明性、公平性及び競争性が確保されていなかったりしていたため、利用者の利便の向上が図られていなかった。
背景金額 | 343億円 |
平成14年度末の空港内駐車場の国有財産台帳価格 |
○環境省
・廃棄物処理施設整備費国庫補助金の交付額に係る事務費の算出方法について
廃棄物処理施設整備費国庫補助金の補助対象となる事務費の算出に当たり、施設建設工事の工期が2箇年度以上にわたる場合の事務費基準額の算出方法を明確に定めていなかったなどのため、工事費が増大するにつれて逓減する事務費率について、各年度に分割した工事費の額に応じた高率な事務費率を適用して事務費基準額を算出していて、補助金の交付額が過大に算定されていた。
(指摘金額 4486万円)
廃棄物処理施設整備事業における施設建設工事請負契約の入札に当たり、最低制限価格を設定する必要性が乏しく、合理的根拠に基づいて設定することが困難であるのに、これらの認識が十分でないまま慣例などにより最低制限価格を設定し、これを下回る価格で入札した業者を排除していたため、競争の利益を阻害することとなっていた。
(指摘金額 12億1423万円)
○日本道路公団
通行料金別納制度による通行料金の割引に当たり、制度の利用申込みが事業協同組合により行われる場合、制度を利用できる者は当該組合の組合員に限られるのに、組合員であることを確認するための審査が十分に行われていなかったことなどのため、組合員以外の者が制度の利用者となっていて、通行料金の割引額が過大となっていた。
(指摘金額 14億7148万円)
○首都高速道路公団
・シールドトンネル工事等において使用するテールグリス等の材料費の積算について
シールドトンネル工事等において使用するテールグリス及び泥水調整剤の材料費の積算に当たり、積算基準において、材料単価が公団制定の単価表になく積算参考資料に掲載されている価格が公表価格(メーカー希望販売価格)である場合、及び材料単価が単価表や積算参考資料に掲載されていても使用量が大量な場合の材料単価の決定について具体的な取扱い方が定められていなかったため、市場価格を適切に把握することなく積算していて、テールグリス等の材料費の積算額が過大となっていた。
(指摘金額 5880万円)
○阪神高速道路公団
・道路保全工事等における機械足場工費及びパイプ吊り足場工費の積算について
道路保全工事等における機械足場工費及びパイプ吊り足場工費の積算に当たり、工事に使用する高所作業車に関し、機械賃料の長期割引の適用、作業内容に適合した規格の選定及び運転に携わる職種の適用についての検討が十分でなかったため、機械足場工費及びパイプ吊り足場工費の積算額が過大となっていた。
(指摘金額 2990万円)
○新東京国際空港公団
空港用地の取得の際に用地所有者に提供するために保有している代替地用地について、用地交渉の進ちょく状況等に留意し、用地所有者の要望等を的確に把握するなどして、代替地としての提供の可能性及び保有の必要性等について十分に検討すべきであったのに、これを行わないまま、具体的な提供の可能性が確認できない代替地用地を長期にわたり保有していた。
背景金額 | 30億4574万円 |
具体的な提供可能性が確認できない代替地用地の財産原簿価格 |
○本州四国連絡橋公団
通行料金別納制度による通行料金の割引に当たり、制度の利用申込みが事業協同組合により行われる場合、制度を利用できる者は当該組合の組合員に限られるのに、組合員であることを確認するための審査が十分に行われていなかったことなどのため、組合員以外の者が制度の利用者となっていて、通行料金の割引額が過大となっていた。
(指摘金額 6869万円)
○日本鉄道建設公団
・新幹線等の駅等の建築工事におけるアルミ製建具の材料費の積算について
新幹線及び都市鉄道線等の駅等の建築工事におけるアルミ製建具の材料費の積算に当たり、刊行物である積算参考資料に同じ高さ、幅のアルミ製建具の調査価格が掲載されていないなどとして、製造業者の見積価格に一律の査定率を乗じて積算することとしていたため、見積価格と積算参考資料掲載の類似品の調査価格と比較を行うなどすることなく積算していて、積算額が過大となっていた。
(指摘金額 3880万円)
○農畜産業振興事業団
家畜改良体制整備事業において、データバンクを構築、運営する事業の重要性が高まる一方で、低金利の影響により運営費の財源となる基金の運用益残高が減少し、事業の安定的な実施が困難となることが予想されているのに、事業の在り方の検討や基金の運営形態の見直し等を適時適切に行わなかったため、基金の運営形態や規模が事業の実施に適合したものとなっておらず多額の資金を有効に活用しないまま保有し続けていた。
(指摘金額 8億0534万円)
・肉骨粉適正処分緊急対策事業における焼却費に係る消費税等相当額の取扱いについて
肉骨粉適正処分緊急対策事業の実施に当たり、肉骨粉等の焼却費の支払方式についての検討や焼却費の経理処理についての指導が十分でなかったため、消費税等の申告において焼却費に係る消費税相当額を仕入税額として控除できないこととなっているなどしていて、補助金が過大に交付される結果となっていた。
(指摘金額 4億4057万円)
○日本原子力研究所
電子複写機で使用するコピー用紙の購入契約に当たり、近年、電子複写機の性能及び用紙の品質が向上し、特定のメーカーの商品に限定しなくても機器を支障なく使用できる状況となっているのに、商品名を指定した仕様としていたため、購入費が不経済となっていた。
(指摘金額 3390万円)
○日本学術振興会
・科学研究費補助事業における資格要件等に係る手続の履行について
科学研究費補助事業の実施に当たり、研究代表者が研究機関から異動することにより資格要件を満たさなくなったり、外国留学等で長期間所属研究機関を離れたりしているのに、補助金の交付内定の辞退等の所要の手続が執られておらず、補助事業が適正なものとなっていなかった。
(指摘金額 1億7577万円)
○独立行政法人農業技術研究機構
試験研究等のための研究用機器等の設置に当たり、据付け等の作業の実態からみて購入により設置することとしても支障のないものまで施設整備工事により設置することとしていたため、施設整備工事の共通費の積算額が過大となっていた。
(指摘金額 5310万円)
○東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社
光配線盤に設置する光分岐モジュールの設置に当たり、回線の切替工事等により非現用となっているモジュールを転用することとしていなかったり、既に収納箱が設置されている光配線盤についても収納箱付きのモジュールを購入したりしていて、モジュールの購入費が不経済となっていた。
(指摘金額 計1億0210万円)
独身寮の運営に関する業務に要する費用の積算に当たり、調理業務に必要な人員数を算出する際に用いる喫食率の算出方法が明確でなかったことなどのため、過大な喫食率に基づいて費用を積算していて、請負費が不経済となっていた。
(指摘金額 計2億8120万円)
○東日本電信電話株式会社
インターネット接続サービスに係る装置の購入に当たり、装置の使用方法を限定していたため未使用の部分があるのに増設していたり、他部門がシステムに入力している装置の使用状況等のデータを設備構築部門が利用できるようになっていなかったため設備計画が過大になったりなどしていて、装置の購入費が不経済となっていた。
(指摘金額 5240万円)
「特に掲記を要すると認めた事項」として4件掲記した。
防衛庁では、アメリカ合衆国政府の有償援助(FMS)による装備品等の調達を実施している。このFMS調達について、本院は、平成9年度決算検査報告に、主要装備品等の調達において調達品等の未納入等により前払金の未精算額が多額に上っている事態や前払金が高めに設定され多額の余剰金が生じている事態を掲記した。今回、検査したところ、精算促進のため合衆国政府が導入した新精算方式に加入しているものの、未精算額10億円以上のケースを中心に未精算額がなお多額に上っている事態、引合受諾書等において価格等の透明性の確保が十分でない事態、補用部品等の調達において、合衆国軍により発注をキャンセルされることが多く、前払金額と発注金額がかい離し余剰金が生じている事態が見受けられた。これらの事態は基本的には合衆国政府の事情によるものであるが、防衛庁においては、引き続きFMS調達を重要な調達方法として利用することから、未精算額の減少、価格等の透明性の確保、補用部品等のキャンセルの低減等の方策を講じ、可能な限り事態の改善を図るよう努めることが望まれる。
背景金額 | 1596億円 |
平成14年度末現在の前払金の精算が完了していないもののうち出荷予定時期を過ぎたものの金額 |
地籍調査事業は、国土の開発、保全及びその利用の高度化に資するとともに、地籍の明確化を図るために国土の実態を科学的かつ総合的に調査することを目的として実施されている。その成果は、土地に関するあらゆる施策の基礎資料として利活用でき、また、土地取引の円滑化や土地トラブルの未然防止などに効果をもたらすものであるが、事業の進ちょく率は、平成13年度末現在、全国平均で44.5%、都市部では17.9%にすぎないものになっている。そこで、事業の進ちょくが図られていない原因、事業推進のための取組状況などについて検査したところ、未着手市町村等において、事業に対する認識不足、都市部での地権者の利害関係が輻輳(ふくそう)しているなどの問題点がうかがえた。また、土地区画整理事業及び土地改良事業における確定測量等については、国土調査法により地籍調査と同一の効果があるものとして指定できるが、指定を受けていないため、それらの成果を活用できない事態などが見受けられた。このような状況で推移すると、事業の目的を達成するにはなお相当の期間を要すると予想されることから、国土交通省においては、未着手市町村等の意識向上に努めるとともに、関係省庁との連携を強め、他の事業の成果を活用するなどの方策を執り、事業の推進を図る要がある。
背景金額 | 646億円 |
検査した25都道府県の市町村等において昭和63年度から平成13年度までに実施された地籍調査事業に対する国庫負担金交付額 |
・公営住宅における収入超過者、高額所得者等に対する措置の実施について
近年、長期にわたる景気の低迷により、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸等することを目的とした公営住宅への入居希望者が増加している。こうした状況などを踏まえて検査したところ、その収入が一定の基準を超えている収入超過者及び高額所得者並びに収入の申告がない未申告者に対して、法令等に定める明渡しのための措置や近傍住宅家賃を課すことなどが適切に実施されておらず、収入超過者及び高額所得者が依然として多数居住していることにより、住宅に困窮する低額所得者に対して必ずしも的確に公営住宅が提供されていないなどの状況となっていた。しかし、法令等に定める措置には実施するか否かの判断が公営住宅を管理する地方公共団体の裁量に委ねられているものが多いこと、財政的な問題等もあり新規の整備は難しいことなどから、状況の改善にはなお相当の期間を要するものと認められる。したがって、国土交通省及び地方公共団体においては、法の趣旨が管理の実施面に的確に反映されるように努めることなどにより、公営住宅の管理の一層の適正化を図ることが望まれる。
背景金額 | 8972億円 |
検査した1,452事業主体に対して平成10年度から14年度までの間に交付された公営住宅の整備に係る国庫補助金の額 |
国土交通省では、大規模な地震等の災害時に緊急物資等の輸送を確保するための耐震強化岸壁や防災拠点等の大規模地震対策施設の整備を実施している。この施設の整備及び管理の状況について検査したところ、整備については、耐震強化岸壁の整備が基本計画に対して十分に進ちょくしていなかったり、臨港道路内の橋りょう等の耐震化がなされていなかったりしていて、震災時において、緊急物資の輸送等に対応できなかったり、施設の機能を十分に発揮できなかったりするおそれがあると思料された。また、管理については、震災時における手順についての具体的な取り決めがされておらず、港湾担当部局における認識や防災担当部局との連携・調整が十分でないため、震災時に迅速に対応できなかったり、円滑な活動に支障を生じたりして、施設の機能が十分に発揮されないおそれがあると思料された。したがって、国土交通省においては、大規模地震対策施設の整備について、自ら又は港湾管理者と連携し、他港湾及び他事業との優先順位等を十分検討のうえ積極的に促進し、また、管理に当たっては、震災時にその機能が十分発揮されるよう、自ら責任を果たすとともに、港湾管理者に対し助言等を行うことが肝要である。
背景金額 | 1509億円 |
耐震強化岸壁等の整備の計画がある港湾における同岸壁等の事業費に対する国費負担の額 |
第4章の「特定検査対象に関する検査状況」に掲記したものは次の18件である。
政府開発援助について、外務省等の援助実施機関に対して検査を行うとともに、12箇国の114事業について現地調査を実施した。その結果、無償資金協力において供与された機材が適切かつ効果的に維持及び使用されていなかったり、プロジェクト方式技術協力において継続して行われるべき研究活動が行われていなかったり、草の根無償資金協力において、購入された機材が目的に沿って有効に使用されていなかったり、事業が未実施であったりなどして援助の効果が十分発現していないと認められるものがあった。また、債務救済無償資金協力において、供与された資金等の一部が相当期間使用されないままになっている事態が見受けられた。したがって、我が国援助実施機関においては、需要予測を十分に行うことや機材、資金の使用状況、事業実施の確認等について一層留意するとともに、相手国に対し適時適切な助言を行う要がある。
さらに、今年次は、過去の決算検査報告において援助の効果が発現していない事態として掲記した事業について、再度現地調査を実施した。その結果、状況が改善し当初の計画を達成したものや、計画は達成していないが状況が改善していたものがある一方、状況が改善していないと認められるものがあった。したがって、援助事業終了後も中長期的な援助効果の発現状況を確認したり、長期間その状況が改善されなかった事業等については重点的にその原因を究明したりするなどの要がある。
(イ)無償資金協力のうち一般プロジェクト無償及び水産無償における施設の建設、資機材の調達等の手続及び契約状況について
外務省では、開発途上国の経済・社会の発展のために必要な施設の建設、資機材の調達等に要する資金を返済の義務を課さないで供与する無償資金協力を実施している。この無償資金協力の中核となっている一般プロジェクト無償及び水産無償について、施設の建設や資機材の調達等の契約締結に至る手続、その手続における我が国援助実施機関である外務省及び国際協力事業団の取組及び契約に係る入札状況等について検査したところ、被援助国は事業の実施に当たり国際協力事業団が作成した無償資金協力ガイドラインに従うことが我が国との間で合意されていた。このガイドラインでは、原則として契約は一般競争入札によること、コンサルタント契約の受託者及び調達等の契約業者を日本人又は日本法人とすることなどが規定されていて、我が国援助実施機関は、契約締結に至る手続が、このガイドラインに則り実施されるよう取り組むなどしていた。また、調達等の契約の入札状況等については、平均入札参加者数が2.5者となっていて、落札比率に代わる指標として算出したEN単位本体契約金額比率が90%以上のものが契約件数の90.9%、80%以上のものが契約件数の94.6%などとなっている状況であった。
無償資金協力は、我が国の財政資金で全額賄われており、本院としては、その協力の効果の発現状況とともに、その透明性、競争性の向上についても引き続き注視していくこととする。
我が国経済の長期にわたる低迷が続いてきたなかで、民間経済を活性化させるための取組としての税制改革に期待が寄せられている。一方で、国税収入の落ち込みによる国の財政への影響が懸念されている。これらを踏まえ、法人税に関する措置法の各条文の適用状況及び経済産業省における政策の検証の状況について検査したところ、次のようになっていた。
〔1〕 法人税に関する措置法の各条文の適用状況は、中小企業者等を対象としたものなど、件数及び金額のいずれにおいても多く適用されている条文が見受けられた一方、適用の少ない条文も見受けられた。また、長引く景気の低迷により、利益計上法人の割合が低下している状況下において、利益計上法人が主に措置法を適用している状況であった。特別措置は、経済財政状況等を含めた総合的な政策判断の下で決定されるものであるが、今後とも、措置法の適用状況の把握に努めていくことが望まれる。
〔2〕 経済産業省においては、税制改正に際し、制度の拡充・延長等を必要とする理由などを明示したり、企業の景況等に関する公表資料やアンケート調査に基づき特別措置の利用状況を把握し、政策効果を分析するなどしたりして特別措置の検証を行っていた。また、平成14年4月から政策評価基本計画に沿って政策評価を実施している。今後、これらの検証について、より一層内容を充実することにより、施策の実効性を高めていくことが望まれる。
(エ)社会保険庁が設置した厚生年金老人ホーム等及び政府管掌健康保険保養所等の事業運営の現況について
社会保険庁が設置・運営している保健・福祉施設のうち、独自の設置目的をもった厚生年金老人ホーム等及び政府管掌健康保険保養所等について、その設置目的の達成状況に着眼して検査した。その結果、老人ホーム等において、本来の設置目的である年金受給者のための長期入居施設(有料老人ホーム)を設置していない施設や、設置していても要介護の状態になったときは退居しなければならないことなどから入居者が減少している施設があった。一方、介護サービスを受けることが可能なケアハウス等の施設数や入居者は急激に増加していて、老人ホーム等における長期入居施設はその存在意義が希簿になっている。また、老人ホーム等の短期宿泊施設には、受給者等の利用が低調で、受給者等のための施設としての存在意義が希簿になっている施設が見受けられる。保養所等は、被保険者等のうち要保養者の病後の保養や機能回復訓練等を主たる設置目的とし併せて一般の被保険者等の健康増進も図ることとしているが、要保養者の利用が皆無又はわずかであったり、被保険者の利用が著しく低率となっていたりなどしており、要保養者、被保険者等のための施設としての存在意義が希簿となっている施設が見受けられる。
したがって、社会保険庁においては、施設の設置目的を十分踏まえてその達成状況を分析するとともに、社会経済情勢の変化、国民のニーズの変化等を踏まえ、現状における施設の存在意義について適切に評価することなどの点に留意して、施設の見直し、在り方などを検討することが望まれる。
農林水産省では、大規模で生産性の高い優良農地の造成及び防災機能の強化を目的として国営諌早湾干拓事業を実施している。この事業は、事業を取り巻く社会経済状況が変化する中、二度にわたり事業計画の変更がなされ、当初計画では平成12年度に完了を予定していたものが、18年度に延長され事業が長期化し、また、総事業費も当初計画では1350億円であったものが現在では2460億円と多額に上っている。そこで、その事業計画、実施状況、施設の管理状況、今後の課題等について検査したところ、〔1〕14年6月の第2回計画変更において、干陸面積が半減されるなど事業内容が大幅に見直されたことにより、所期の効果を発現できなくなり、使用した資材の一部を利活用することとした施設や用途変更することとした施設などが生じることとなっていた。〔2〕事業が一時中止されたことから、新たな工事経費が生じることとなっていた。〔3〕第2回計画変更で干陸面積が半減した一方で、総事業費が当初計画よりも1110億円増加したため、事業によってもたらされる効果が投下された事業費を償うことができない事態となっていた。
これらの事態は、社会経済状況等の外的要因の影響も強く認められるが、既に2259億円の巨額な事業費が投じられていることを考慮すれば、今後、これまで以上に関係者との意見調整を図ったり、農業者等の意向や農業経営の状況等を考慮したりなどして、事業の効果が事業費を少しでも償うよう、適時適切に所要の措置が講じられるとともに、計画変更により所期の効果を発現できなくなった施設の材料の中で利活用されていないものについては、更に他の施設等に利活用するなど、より一層の経済的・効率的な事業の運用が図られることが望まれる。
(カ)公共工事の品質を確保するための監督・検査体制等の整備状況について
近年、公共工事については、競争性の増大、コストの縮減を図るための施策を推進していく上で、その品質の確保が従来にも増して重大な課題となっていることなどから、国土交通省及び農林水産省の所管する公共工事の各発注機関における監督・検査体制等の整備状況について検査した。その結果、発注機関の中には、監督・検査の制度、体制が十分でなく、監督・検査において完成後に目視できない箇所など必要な箇所の施工状況の確認・検査が十分に行われていなかったり、請負者が適切な体制で工事を行っていることを確認することなど公共工事の適正な施工の確保を図るための取組が十分でなかったりしているものが見受けられた。そして、特に町村においては、技術職員の割合が少ない上、監督要領等が制度として定められておらず、監督職員相互の業務分担や補完体制が執られていないなど、監督・検査の執行体制がぜい弱なものとなっている状況であった。
したがって、関係各機関においてより的確な完成検査の実施に努め、施工段階における監督・検査も更に充実させること、両省において適切な監督・検査の制度や適正な施工の確保を図るための施策を引き続き検討、実行すること、両省及び都道府県において体制の不十分な地方公共団体に対する支援措置を拡充していくこと、市町村において外部支援の活用なども検討して適切な監督・検査体制等を確保していくことなどに配慮して、公共工事の品質の確保を図っていくことが望まれる。
(キ)石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計石油及びエネルギー需給構造高度化勘定の決算状況について
石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計石油及びエネルギー需給構造高度化勘定では、石油税を財源として、石油等資源の開発の促進、石油の備蓄の増強、石油代替エネルギーの開発及び利用の促進等を行う石油及びエネルギー需給構造高度化対策に関する経理を行っている。この勘定において多額の剰余金が生じていることから、その要因について検査したところ、同対策実施のため、毎年度多額の石油税収入が一般会計から同特別会計に繰り入れられている一方で、石油安定供給対策費を中心として相当額の不用額が生じている状況が長期間継続して繰り返されてきたことが主な要因となっていた。また、近年は剰余金が増加している一方で、石油税収入のうち同特別会計に繰り入れない非繰入金がほぼ横ばいで推移しており多額に上っている。
ついては、上記のような状況を踏まえ、剰余金の減少策及び今後多額の剰余金が発生しないための方策について検討することが望まれる。
農林漁業金融公庫の貸付金残高は、融資先である農林漁業者等が厳しい経営環境におかれ、新規の設備投資に対する需要が減退するなどしているため、近年一貫して減少する傾向にある。一方、政府の特殊法人等改革の動きの中で、「民間でできることは、できるだけ民間に委ねる」という原則の下に、農林漁業者及び食品製造・加工・流通事業者に対する融資について、公庫の事業規模や融資対象事業、融資条件を適切に見直すとされ、また、政策金融改革の中で、政策金融機関は平成16年度末までセーフティネット面での対応に万全を期すなどとされている。
そこで、公庫の融資状況等について検査したところ、近年、基盤整備事業への補助残融資から農業の構造改革に資する個別の担い手経営体への融資に重点を移してきていることに加え、当面はセーフティネットとしての経営再建・安定のための融資などに重点が置かれ、こうした業務内容の変化に応じて事務負担も増大している。このため、事務費は近年の融資規模の減少にもかかわらず、増加ないし横ばいとなっている。また、債権管理についても、全体として不良債権は減少してきたが、景気回復の遅れや災害等の影響による既往債権の不良債権化は今後も予断を許さない状況にある。したがって、今後とも一層、不良債権に対する処理を強化し、リスク管理体制を整備するとともに、その業務量に適合してより効率化された業務執行が図られることなどが望まれる。
中小企業総合事業団信用保険部門では、中小企業の信用補完制度の一環として、中小企業者の金融機関からの借入れについて信用保証協会が行った債務保証を包括的に保険する信用保険事業を行っている。長引く景気の低迷等により、近年、中小企業者の債務不履行に伴う協会の代位弁済が急増している一方でその回収率は低下している。信用保険事業では、これを反映して、保険金支払額が急増する一方で回収金納付額が低調な伸びにとどまっており、また、保険料率がこれまで据え置かれ又は引き下げられてきたことから、保険収支は毎年度大幅な赤字を計上している。その結果、事業団の財政は著しく悪化しており、信用補完制度の継続には当面の間、多額の財政資金の確保が必要とされる。
したがって、信用補完制度を円滑かつ持続的に運営していくために、国、事業団、協会において、保険料率や協会と金融機関の負担割合を見直すなど必要な方策を検討し、保険収支改善に向けた施策を講じることが望まれる。
(コ)新事業の創出、育成に係る金融支援施策の実施状況について
国は、産業構造の変革と経済の活性化を図ることを目的とした新事業の創出、育成に係る支援施策の一環として、平成7年以降、新事業を実施する企業を対象に、直接金融による支援を創設するとともに、間接金融による支援でも新たな融資制度を整備した。これらの金融支援施策について、中小企業総合事業団、産業基盤整備基金、中小企業金融公庫及び日本政策投資銀行における実施状況を検査したところ、雇用の創出に効果がみられたものの、直接金融支援では、支援体制が十分でなかったり、支援の枠組みが投資先企業の破綻、低金利等の外部要因を受けやすいものであったりしたことなどから、実績が減少していたり、地方圏の企業に十分波及していなかったりしていた。また、間接金融支援では、創業期あるいは成長初期段階の企業など資産が少ない企業に対する支援が低い割合にとどまっていた。
事業団及び基金は、16年度に新法人に統合することとされており、新法人における直接金融支援では、地域の実情に配慮して事業を一層活用していくことや、これまで培った経験を同種の事業を実施する際に活用していくことが肝要である。また、公庫及び銀行における間接金融支援では、新事業を実施する企業が有するリスクを勘案しつつ資金を供給することができるよう、貸付手法や債権回収方法等を整備していくことが肝要である。
(サ)中堅企業等に対する金融環境対応融資制度の実施状況について
平成9年に創設された日本政策投資銀行による金融環境対応融資制度は、中堅企業等に対し資金供給を行い民間金融を量的に補完することを目的とし、一方で償還確実性の原則の趣旨を踏まえることが要請された。そして、13年3月の制度終了から一定期間が経過したことから、融資の効果や貸付債権の状況等に着眼して検査した。
その結果、貸付けの実績は大企業及びその子会社等が大きな割合を占めるなど、一般の中堅企業やそれまで日本政策投資銀行を利用してこなかった企業への直接的な政策効果の波及が一定の範囲にとどまっており、また、代理貸付制度や債務保証制度等の実績は著しく低調で、有効な資金供給手段とはなっていなかった。貸付債権の状況については、当初想定した事業収益の回復が困難となり、破綻や繰上弁済等に至っている貸付先が一部生じるなどしている。また、貸付先の企業において事業収益の回復や負債水準の調整が全国値と比べて低調であるなどの事態が見受けられる。日本政策投資銀行においては、現在、事業再生に係る出融資など従来より財務内容や企業の信用度が劣る先への出融資が重要な業務となってきており、金融環境対応融資の経験を十分に踏まえることが肝要である。
(シ)高速道路等における有料道路自動料金収受システムの利用状況について
日本道路公団、首都高速道路公団及び阪神高速道路公団では、平成10年度から有料道路自動料金収受システム(ETC)の整備を行っている。このシステムには、〔1〕利用者の利便性・快適性の向上、〔2〕料金所渋滞の解消、〔3〕コスト削減及び〔4〕新たな料金施策の実施など、各般の整備効果が期待されており、国土交通省では、19年度までに利用率を全国平均で70%程度にまで引き上げることを目標とし、15年度中に全国のほぼすべての料金所にサービスを拡大することとしていることなどから、ETCの利用状況、整備効果等に着眼して検査した。
検査したところ、通行料金別納制度や回数券の利用者は、ETCに割引面での優位性がないことなどから、経済的な利点を感じにくいものとなっており、本院が行った別納制度利用者に対するアンケート調査でも経済的な利点を求めるものが多くなっていた。また、全国平均の利用率は15年9月現在で10.4%であり、現状では、整備効果が十分発現しているとは認められない状況である。したがって、3公団においては、利用者に対してETCの利点の周知徹底を図って新たな需要を喚起するとともに、ETCによる割引と現行の割引制度との均衡を図ったり、ETCレーンの常時専用運用を行う料金所を極力増やしたりするなどして利用率の更なる向上を図り、もってETCのもたらす各種整備効果が早期に発現するよう努めることが望まれる。
石油公団では、石油等の自主開発を推進するため、国の出資金等を財源として、開発会社を支援する探鉱投融資等事業を行っており、これにより支援した開発会社は300社を超えている。同事業の損益の状況等について検査したところ、開発会社が探鉱事業に失敗したことなどにより、投融資累計額の6割を超える額が損失として処理されている。また、収益の中には、既にこの損失の一部となっているものと推定される元加利息等が多額に含まれているなど、その状況は良好なものとなっていなかった。また、ナショナルプロジェクト会社に係る事業損失が多額に上っているなど、多くの開発会社の経営状況が厳しいものとなっていた。
公団では、今後、開発会社の株式を売却するなどして出資金の回収等を行うこととされている。そして、17年7月までに公団は解散し、一切の権利及び義務は国及び国が資本の全額を出資する株式会社に承継されることとなっている。したがって、今後は、公団において、売却資産価値の最大化を図りつつ開発会社の株式売却等の資産処理を行っていくことが、特に肝要である。
(セ)特定住宅金融専門会社に係る譲受債権等の回収業務の実施状況について
平成8年から始まった特定住宅金融専門会社に係る譲受債権等の回収業務について、本院では、平成8年度決算検査報告において、回収金額が譲受価額を下回ることによる損失の発生に伴い新たな財政資金が投入されることもあることから、事態の推移を注視する旨の記述を行ったところである。そして、13年度までは、平成13年度決算検査報告に記述したとおり、毎年度、回収益の合計額が二次損失の2分の1の合計額を上回っていたが、14年度には、二次損失の2分の1の合計額が回収益の合計額を上回る事態が初めて発生し(その上回る額は453億余円)、国は、今後の整理回収機構及び預金保険機構の財務状況によっては補助金を交付しなければならない可能性が生じた。
このことから、これまでの回収業務の実施状況と今後の更なる財政負担の可能性について検査したところ、整理回収機構の貸倒引当金(14年度決算5390億余円)相当額の貸出金債権等については、将来的に回収が不可能になり、結果として二次損失となる可能性があり、一方で、回収益については、回収益が見込まれる債権が減少してきていると思料されることなどから、今後は減少していくと推測される。また、国の補助金の対象となっていない二次損失の補てん等のための助成金に充当するとしている基金の運用益についても、現時点では十分確保されていない事態となっている。このような状況は整理回収機構の財務状況を悪化させ、その結果、更なる財政負担等が発生する可能性が高くなる。したがって、預金保険機構においては、整理回収機構とともに、譲受債権等の流動化を積極的に推進していくなどして、今後も国民負担の最小化の観点から回収の極大化に努める必要がある。
(ソ)北海道、四国及び九州各旅客鉄道株式会社の経営状況について
国鉄の分割・民営化により昭和62年4月に発足したJR各社のうち、東日本、東海及び西日本の本州三社は、国鉄の長期債務を負担したものの順調な経営を続け、それぞれ株式上場を果たしたが、一方、北海道、四国及び九州の三島会社については、本州三社と同様、経営基盤を確立した後、株式の売却及び上場が求められているものの、依然として日本鉄道建設公団(平成15年10月1日以降は「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構」)がその株式を全株保有している。
この三島会社の経営基盤の状況について検査したところ、鉄道事業では、沿線地域の過疎化及び少子高齢化、自動車利用の増加等により輸送の状況は厳しく、発足以来損失が続いている。また、鉄道事業以外の事業では、それぞれグループ全体での発展を目指しているが、グループ経営のリスク要因となっている面もある。さらに、三島会社の営業損失補てんのために設置された経営安定基金は近年の金利水準の低下等の影響を受け運用収益が減少しており、国等によって同基金からの高利率による借入れや固定資産税等の軽減といった支援措置が講じられているものの、三島会社を取り巻く環境は楽観視できない状況にある。したがって、三島会社では効率的な経営体制め確立に努めるとともに、支援措置の期限切れとなることを踏まえ関係機関と協議するなど、株式上場に向けて検討することが望まれる。
国鉄の分割・民営化により昭和62年4月に発足したJR貨物は、経営基盤を確立することなどにより、できる限り早期に純民間会社に移行することを求められているとともに、環境負荷の少ない大量輸送機関という鉄道貨物輸送の特性を生かし、モーダルシフト(鉄道貨物・内航海運の活用)の受け皿として貨物輸送におけるシェアの向上も期待されている。
会社の経営成績等について検査したところ、会社において業務運営の効率化等の施策を進めており、一定の成果も見られるが、短期間における運輸収入の大幅な増加は難しく、完全民営化への道筋をつけるにはなお一層の努力を要する状況にある。また、鉄道貨物の分担率は低下傾向にあり、近年推進されているモーダルシフトは進行していない状況であり、モーダルシフトの受け皿として実施されたインフラ整備は、現在のところ所期の効果が発現していない。したがって、会社において、より一層の経営成績の改善と鉄道貨物の分担率の向上に向けた努力が必要と認められる。また、国等において、モーダルシフトを推進する方針を踏まえ、今後のインフラ整備を促進するための方策を幅広く検討していくことが望まれるほか、整備されたインフラが活用されるようソフト面の施策も講ずる必要がある。
(チ)国の情報システムの調達に関する契約と行政の情報化の推進体制について
各省庁においては、行政の総合性の確保、簡素化・効率化の推進、国民のニーズへの対応等を図るため、多額の予算を投じて情報システムを整備してきている。そこで、各省庁の情報システムの調達に関する契約状況について検査したところ、競争契約の割合が随意契約の割合に比べて低い状況となっており、また、仕様書等の作成における発注者の主体的な関与、契約後の開発工程の管理、開発・改良後の権利関係の明確化等が十分には図られていない状況となっていた。さらに、各省庁の内部部局における行政の情報化の推進体制について、〔1〕単独の情報システム担当部門が情報化の一部を担当する一部型、〔2〕複数の情報システム担当部門がそれぞれ情報化を担当する分担型、〔3〕単独の情報システム担当部門が情報化のすべてを担当する集中型の3形態に分類して分析したところ、調達に関する情報を情報システム担当部門に集約するなど推進体制の整備が重要であると認められた。
したがって、各省庁においては、発注者の主体的な関与を高め、契約における競争性・透明性を向上させ、契約後においても受注者との緊張関係を保持するとともに、ソフトウェア等に関する国の権利を適切に管理するなどして、より効率的、効果的な調達が行われることが望まれる。そして、引き続き、情報システムの調達を組織的に管理し推進する体制を整備し、適切な調達のための施策や実践的な取組を積極的に講じることにより、行政の情報化を着実に実施していくことが望まれる。
国は、国民の租税負担の公平化や一定の行政水準の維持等の観点から、地方公共団体に対して、補助金等、地方交付税交付金等の交付及び地方債の引受けのための政府資金等の貸付けという形で、毎年度多額の財政資金を移転している。近年の地方財政は、社会保障関係経費等多様な行政事務に係る歳出圧力の増大の下で、いわゆるバブル経済崩壊後の景気低迷による税収の減少や累次の経済対策に対応して公共投資を拡大したことに伴って多額の地方債を発行したため、その残高が急増している。この間、国は、公共事業関係を中心とした補助金等を補正予算で措置したり、交付税及び譲与税配付金特別会計の借入れを増やして地方交付税を確保する措置を執ったりするとともに、地方債の追加発行を認めたり、地方債の元利償還金に対する地方交付税措置を講じたりするなどして、地方公共団体の公共投資の拡大等を支援してきた。
このような国及び地方の財政措置の結果、地方においては、地方債残高の急増に伴って将来の多額の返済負担が生じるとともに、交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金の地方負担分の増加が将来の地方財政の圧迫要因になると思料される。また、国においても、補助金等の原資の一部にもなっている公債の負担が生じる中で、同特別会計の借入金の国負担分の増加が将来の一般会計歳出の圧迫要因になってきている。したがって、地方公共団体が自立的判断の下に効果的に施策を推進できるよう、また、財政資金がより効率的、効果的に使用されるよう、各府省等及び地方公共団体が協力して、〔1〕補助金等については、適正な事業執行や不断の見直し、〔2〕地方交付税については、地方財政計画の策定における歳出総額の抑制や地方の負担意識を簿める仕組みの見直しの検討、〔3〕地方債については、発行の際の必要性、償還確実性の検討等の点に今後とも留意しつつ行財政運営がなされること、そして、これらにより国及び地方の債務の増加が抑制されることが望まれる。
会計検査院は、前節に記載した「平成15年次会計検査の基本方針」のとおり、正確性の観点、合規性の観点、経済性・効率性の観点、有効性の観点といった多角的な観点から検査を実施した。その結果は「第1 事項等別の検査結果」で述べたとおりであるが、このうち「第3章 個別の検査結果」に掲記した事項について、検査の観点に即して事例を挙げると次のとおりである。
1 主に予算執行や財産管理の状況が計算書や財務諸表に正確に表示されているかに着眼したもの
検査対象機関は、その執行した予算や管理する財産について、法令や各種会計基準に従って、適正に経理処理を行うとともに、その状況を適切に計算書や財務諸表に表示しなければならない。この経理処理が適正に行われ、予算執行や財産管理の状況が計算書や財務諸表に適切に表示されているかに着眼した検査の結果として次のようなものがある。
(ア)国の所有する財産は国有財産台帳に適切に計上されているか、また、これらの財産の現況が国有財産増減及び現在額報告書等に適切に表示されているかを検査した。その結果、「改修工事により国有財産台帳に登録する建物及び工作物の価格登録が適正に行われるよう改善させたもの」 を掲記した。
(イ)政府出資法人において、その所有する物品の管理が適切に行われ、固定資産台帳等の帳簿に正確に記載され、その現況が適切に表示されているかを検査した。その結果、「物品の管理について」 として、所有物品の正確な実態を把握するとともに、必要な帳簿を整備してその正確な記帳を行い、物品管理の適正を期するよう是正攻善の処置要求した。
2 主に業務が予算、法令等に従って適正に実施されているかに着眼したもの
検査対象機関は、予算、法令等に従って適正に業務を実施しなければならない。この業務の執行に際し、予算、法令等が守られているか、さらには予算、法令等の趣旨に適合した制度の運用が行われているかに着眼した検査の結果として次のようなものがある。
(ア)会計に関する事務を処理する職員は、予算や会計法令等の定めるところに従って、収入金の受入、支出金の支払、契約手続、給付の確認等の事務を適正に行うとともに、その経理処理を確実に行うべきものであるので、これらが予算や会計法令等に従って適正確実に行われているか、また、適正確実に行うような事務処理体制が執られているかを検査した。その結果、「在外公館における会計経理が適正を欠くと認められるもの」 や「医薬品等の購入に当たり、当該年度の予算の額を超えて契約等を行い、翌年度において事実と異なる不適正な会計経理を行って代金を支払っているもの」 、「虚偽の勤務実績によって給与等を支出しているもの」 、「たい肥場上屋設置工事に係る会計経理が適正を欠くと認められるもの」 を掲記した。
(イ)租税及び保険料は法令等に従って適正に徴収すべきものであるので、個々の徴収額に過不足がないか、徴収や還付の手続が適正確実に行われているかを検査した。その結果、「租税の徴収に当たり、徴収額に過不足があったもの」 や「租税債権保全のための適切な措置を講じていなかったもの」 、「地方税の滞納に基づく債権差押えをされていた還付金等を法人に支払ったため、差押債権者である地方公共団体に更に還付金を支払うこととなるなどして損害が生じたもの」 、「健康保険及び厚生年金保険の保険料の徴収に当たり、徴収額が不足していたもの」 、「労働保険の保険料の徴収に当たり、徴収額に過不足があったもの」 を掲記した。
(ウ)老齢厚生年金等の支給は適正なものとなっているかを検査した。その結果、「厚生年金保険の老齢厚生年金及び国民年金の老齢基礎年金の支給が適正でなかったもの」 を掲記した。
(エ)雇用対策のための給付金や助成金の支給が適正なものとなっているかを検査した。その結果、「雇用保険の失業等給付金の支給が適正でなかったもの」 や「中小企業雇用創出人材確保助成金の支給が適正でなかったもの」 を掲記した。
(オ)医療機関からの診療報酬や労災診療費の請求に対する支払が適正かを検査した。その結果、「医療費に係る国の負担が不当と認められるもの」 や「労働者災害補償保険の療養の給付に要する診療費の支払が適正でなかったもの」 、「調剤報酬における調剤基本料が処方せんの受付回数等の実績に基づいて適正に請求されるよう改善させたもの」 を掲記した。また、適正な支払が行われていない事態について、それが制度の運用に起因していないかを検査した。その結果、「診療報酬における基本診療料等の届出の受理について」 として是正改善の処置を要求した。
(カ)介護サービスを提供する事業者からの介護給付費の請求に対する支払が適正かを検査した。その結果、「介護給付費に係る国の負担が不当と認められるもの」 を掲記した。
(キ)委託費が実際に要した費用に基づいて適正に支払われているかを検査した。その結果、「調査研究に係る委託費の支払に当たり、使用していない設備の使用日数等を含めるなどしていたため、支払額が過大となっているもの」 や「業務委託契約に係る委託費の支払に当たり、使用していない設備の使用時間数を含めるなどしていたため、支払額が過大となっているもの」 を掲記した。
(ク)補助金の交付申請や実績報告に係る経理が適正に行われているか、また、補助事業が適正に実施されているかを検査した。その結果、「国民健康保険の財政調整交付金の交付が不当と認められるもの」 や「国際開発協力関係民間公益団体補助金の対象としていた植林事業を実施していないもの」 、「BSE対応肉用牛肥育経営特別対策事業に係る補てん金が交付対象とならない牛を対象に交付されているもの」 、「地域活性化創造技術研究開発費補助金等の経理が不当と認められるもの」 を掲記した。
(ケ)政府出資法人における公共料金の徴収が定められた制度に基づいて適正に行われているかを検査した。その結果、「通行料金別納制度による通行料金の割引に当たり、制度の利用者が事業協同組合の組合員であることを確認することなどにより、制度の運用の適正化を図るよう改善させたもの」 を掲記した。
3 主に業務が経済的・効率的に実施されているかに着眼したもの
検査対象機関の業務は、その事業目的を達成する上で、経済的・効率的に実施されなければならない。すなわち、経費は節減できないか、同じ費用でより大きな成果が得られないかという観点であるが、この点に着眼した検査の結果として次のようなものがある。
(ア)学資の貸与事業において債権の回収に関する業務が適切に行われているかに着眼して検査した。その結果、「育英奨学事業における延滞債権の評価及び回収施策の策定について」 として改善の意見を表示した。
(イ)国等からの補助金や助成金等が合理的に算定されているか、事務・事業の実施に対して必要以上に交付されることとなっていないかに着眼して検査した。その結果、「市場隔離牛肉緊急処分事業における事業対象牛肉について、品種等ごとの助成単価を設定するなどして、助成金の交付額を節減するよう改善させたもの」 や「廃棄物処理施設整備事業における施設建設工事請負契約の入札に当たり、原則として最低制限価格を設定しないこととして、競争の利益を阻害することのないよう改善させたもの」 を掲記した。
(ウ)工事費の積算は経済的なものとなっているかに着眼して検査した。その結果、「道路保全工事等における機械足場工費及びパイプ吊り足場工費の積算を適切なものとするよう改善させたもの」 や「新幹線及び都市鉄道線等の駅等の建築に当たり、アルミ製建具の材料費の積算を適切なものとするよう改善させたもの」 を掲記した。
(エ)物件の調達は経済的・効率的なものとなっているかに着眼して検査した。その結果、「データの入力等に当たり、入出力装置の借上げに代えて既存のパソコンを活用することにより、経費を節減するよう改善させたもの」 や「光ファイバケーブルを利用したインターネット接続サービスの提供に当たり、装置の使用状況等を適切に把握して経済的な設備の構築を行うことなどにより、装置の購入費の節減を図るよう改善させたもの」 を掲記した。
(オ)役務の仕様や積算は経済的・効率的なものとなっているかに着眼して検査した。その結果、「登記情報システムのため配備したホストコンピュータ専用の空気調和機に係る点検保守費の積算を適切なものとするよう改善させたもの」 や「政府米の輸出業務の実施に当たり、輸出米穀に係る入庫検定を廃止することにより、経費の節減を図るよう改善させたもの」 、「郵便切手類販売所等に対する委託販売手数料の支払を購入実績に応じた適切なものとするよう改善させたもの」 を掲記した。また、公共料金の支払額の節減を図っているかに着眼して検査した。その結果、「電話等に関する各種の割引制度を適切に利用することにより、通話料の節減を図るよう改善させたもの」 を掲記した。
4 主に事業が所期の目的を達成しているか、また、効果を上げているかなどに着眼したもの
検査対象機関の事業の中には、一定の目的の下に、社会資本を整備したり、財政援助・助成措置を講じたり、財産を保有・活用したりなどしているものがあるが、これらが所期の目的を達成しているか、また、効果を上げているかなどに着眼した検査の結果として次のようなものがある。
(ア)大規模地震に対する耐震性を備えた港湾施設の整備及び管理において、耐震強化岸壁の整備が進ちょくし、また、その周辺施設の耐震化が実施されているか、震災時に施設の機能が発揮できるよう適切に管理されているかなどに着眼して検査した。その結果、「港湾における大規模地震対策施設の整備及び管理について」 を掲記した。
(イ)公共事業や土地取引、災害復旧事業の円滑化等に資する地籍調査事業について、事業の進ちょく状況や進ちょく率が上がっていない地区の原因と方策等に着眼して検査した。その結果、「地籍調査事業の実施について」 を掲記した。
(ウ)国が管理する空港に設置した有料駐車場について、利用者の利便の見地から駐車料金の妥当性をどのように検証しているか、駐車場運営者の選定は透明性、公平性及び競争性のある仕組みとなっているかに着眼して検査した。その結果、「国が設置した空港内駐車場について、利用者の利便の向上を図るため、駐車料金の審査・承認や駐車場運営者の選定を適切に実施するよう改善させたもの」 を掲記した。
(エ)空港用地のうち未買収となっている用地の取得に際して用地保有者に提供する目的で保有している代替地用地について、代替地としての提供の可能性及び保有の必要性等に着眼して検査した。その結果、「空港用地の取得のため保有している代替地用地の保有の必要性等を検討して不要な土地の処分を図るよう改善させたもの」 を掲記した。
(オ)国の補助金の交付を受けて整備した施設や設備の規模は適切なものとなっているか、必要となる関連施設は計画に沿って整備されているか、それらが適切に管理され、計画や目的に沿って利用されているか、また、その目的を達しているかなどに着眼して検査した。その結果、「社会参加促進費補助金の交付を受けて購入したパソコンについて、その管理を適切に行うとともに、社会教育のために有効活用を図るよう改善させたもの」 や「農業構造改善事業等により設置した農畜産物処理加工施設等において、地域の農畜産物を活用することなどにより、事業効果の発現を図るよう改善させたもの」 、「漁港利用調整事業の実施に当たり、事業基本計画の審査を十分行うとともに事業の進ちょく状況等を的確に把握するなどして、事業効果を早期に発現させるよう改善させたもの」 、「公営住宅における収入超過者、高額所得者等に対する措置の実施について」 を掲記し、「卸売市場施設整備事業の実施について」 として改善の意見を表示した。
(カ)国が交付した補助金により造成された資金について、それが有効に活用されているか、状況の変化に対応した事業の見直しが行われているかなどに着眼して検査した。その結果、「南太平洋漁業振興対策事業において、基金の有効な活用を図るとともに、必要のない業務を廃止し資金を国に返還するよう改善させたもの」 や「自動車整備近代化資金について、事業計画の達成状況を適切に把握することなどにより、資金の目的のために有効に活用するよう改善させたもの」 、「家畜改良体制整備事業の実施に当たり、事業を取り巻く状況の変化に対応するようデータバンクを再構築することとし、基金の運営形態を適切なものに改善させたもの」 を掲記した。
(キ)中学校で実施される初任者研修において、初任者と同じ免許教科の教員を教科指導員に任命して指導等を行わせるなど、初任者研修を円滑かつ効果的に実施する体制が整えられているかに着眼して検査した。その結果、「公立の中学校において初任者研修が円滑かつ効果的に実施されるよう改善させたもの」 を掲記した。
(ク)地方団体の財源の均衡化を図るなどの目的で交付される地方交付税交付金について、近年における少子・高齢化傾向の中で、その算定の合理性及び公平性が保たれているかなどに着眼して検査した。その結果、「普通交付税の小・中学校費に係る基準財政需要額の算定において、0学級校を学校数に含めないこととするよう改善させたもの」 を掲記した。
(ケ)アメリカ合衆国政府の有償援助による自衛隊の装備品等の調達について、前払金の未精算額が多額に上っている事態は改善されているか、価格の透明性は確保されているかなどに着眼して検査した。その結果、「アメリカ合衆国政府の有償援助による装備品等の調達について」 を掲記した。